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リリなのinボクらの太陽サーガ
言葉
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ら側”の魔法もプログラムが崩壊してしまっているから、ダークマターに触れて消滅する以前に発動すら出来なくなった。こうして私があなたへ言葉を送れたのは、諸事情で覚えていたロシア語のおかげだけど……管理世界の人間は母国語であり共通言語でもあるミッド語を奪われて、人形のように動かなくなって何も話せなくなってる。一つの言語しか使えない人間は“物”は認識できても、それらを表現、理解する事が出来なくなっている。“言葉”があるから“物”がわかり、“物”があるから“言葉”がわかる……“言葉”と“物”は両方存在してようやく定義が成立するのよ。例えばあんな……元々優秀な魔導師だった人が言葉を奪われた事で、何も言えなくなった自らのデバイスが認識できず、人形のごとく動かなくなる様子はまさに“退化”と表現すべきもの……。いや……まるで赤子並みに物がわからなくなるから、むしろ“退行”と表すべきかしら……』

「ふむ……肉体的にも精神的にも直接攻撃していないのが、特に恐ろしいな。つまりあれか……俺がいつもの調子で英語をしゃべっても、今のエレンには通じなくなってしまっているのか。実に面倒だ……」

『恥ずかしながらそういうこと。母国語の喪失は、誰であろうとかなり痛いわ……。自分の言葉を失えば彼らのように、一見別人に変わってしまうんだもの。ああ、そうそう、ラジエルの人間は仕事柄、色んな世界の言語を覚えているから一応“退行”はしていない。だから現状で“退行”してしまっている者は、協力してくれた局員や魔導師に集中している……。皮肉ね……管理世界の人間は言葉を失い、管理外世界の人間はまだ無事。正直に言うと、見てて憐れみを覚える程ね』

「様子だけ聞いてるとまるで痴呆を起こしたみたいで、俺もそうなりたくはないな。とにかくエレンのおかげで、ファーヴニルの最も危険な要素を把握する事が出来た。……すまないな、おまえにそんな苦労をかけさせてしまって」

『あなたのためなら、私の命を委ねる事も構わない。むしろ捨て駒上等よ。だから変に気を遣わなくても、十分気持ちは通じているわ』

「そ、そうか……捨て駒上等か……。……ところで話を戻すが、ファーヴニルはラタトスクの思考誘導から一旦解放された。なら……奴らは今どこにいるんだ?」

『順を追うと、まず魔力コアが破壊されたダメージでファーヴニルは悲鳴とも言える雄叫びを上げて暴れ出し、ラタトスクでも手が付けられないまま戦域から転移して去った。だけどラジエルもあの巨体から繰り出される攻撃を何発か受けて、装置がいくつか故障して反応を探知できなかったから、残念ながらファーヴニルの行方はわからなくなってしまったわ』

「ふむ……だがエレン、それはおまえの不備じゃない。おまえがちゃんと生き残ってくれただけで、俺としては十分だ」

『ふふ……あなたから
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