言葉
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へ戻って行った。だが去り際の様子……これから俺が何かするんじゃないかと感付いている気がする。俺がわざと話さなかった所から事情を察して、首を突っ込まないように空気を読んでくれたらしい。彼女達の密かな配慮を胸に、俺達もやるべき事を果たそう。
「では教主……改めて確認しておきたいのですが、本当にやるんですね?」
「ああ、今更やめるつもりは無い。あと、わかっていると思うが手加減は無用だ。全力で頼む」
「いいよ。ボク達のショーシンショーメイの本気、披露してあげるね!」
「うむ、我らマテリアルズの真の力を目前で見れるのだ、光栄に思え、教主殿!」
「フッ……それは心強いな」
そうして俺は想定される被害を抑えるべく、ウェアウルフ社の地下にある“特別な部屋”へディアーチェ達と共に向かう。念のためとある準備を終えてからマテリアルズの彼女達は、一旦量子化して俺と同化した。同様に俺も、意識と全ての感覚を精神世界へと集中させる……。現実世界の俺とのリンクを自ら手放して……眠るように深い……深い心の世界へと分け入っていった……。
………。
「……着いたか」
やがて精神世界の俺だけが意識を保ちながらたどり着き、周りに佇む彼女達の命の気配を察知する。目を開けて視界を確保すると、シュテル、レヴィ、ディアーチェが傍で待ってくれていた。彼女達は既にバリアジャケットを展開しており、準備万端といった様子だった。
今、俺達がいるのは俺の精神世界の深部。そこは月の桜を巨大にした木が一本咲き誇り、桜の根が透き通った水の中を縦横無尽に這い巡らせている。静かに湧き上がる水で波紋を立てているのに何故か立てる水面。しかし根の隙間を覗くと、真っ暗な深淵が見える場所。……それは幻想的で、世紀末世界の月の楽園と雰囲気がどことなく似通っていた。
「いらっしゃいませ、教主。と言っても元々ここはあなたの世界で、私達はただ間借りしているんですけどね」
「ん〜ここがお兄さんの心の深い所かぁ……。何だか綺麗で……不思議な所だね」
「うむ、まるで教主殿の純粋な愛に満ちた本質が、ここでも垣間見えるようだ。だが……一つ妙なモノが存在しておるな」
ディアーチェが視線を向けたのは、桜の根本。そこでは心臓のように鼓動を鳴らす赤い膜に包まれて、胎児のように宙に浮かびながら安らかに眠る一人の少女がいた。生まれたままの姿の彼女に興味津々なマテリアルズだが、そもそもあの子はここに来た目的の“彼女”ではない。
もっと前から…………そう、5年前のあの時……かつてザジとエレンの魔女の力を暴走させた、謎の金属板。あの物体から伸びた淡緑色の光が俺に刺さった時、謎の声と共にあの少女が俺の精神の深層部に宿った。エレン達と別れた後、暗黒城に帰ってから発見したのだが、少女は一度も目覚
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