解かれる結び目 12
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背後に腕を回すと。
ギリギリの距離でかわしたレゾネクトの横髪が数本、床に落ちた。
「それに気付けていない貴方が哀れなんだ、レゾネクト!」
足先を反転して、間合いを詰めるけど。
アルフの、振り下ろす斬撃も、薙いだ一閃も、素早い刺突も。
レゾネクトはすべて、少ない動きで際を避ける。
「貴方は探してるんだ。自身が存在してる理由を。生きても良いと言われる理由を!」
「生きても良いと言われる理由?」
「自身を知りたいってのは、そういうことだ! 世界中のどこにも居場所が無いと感じてる。それが寂しいんだ。恐ろしいんだ。貴方は、誰かに孤独を埋めて欲しかっただけ!」
何の為に産まれたのか。
何故この世界に居るのか。
どうして生きているのか。
存在する理由が知りたい。
存在し続ける意味はどこにあるのか。
……教えてくれないか。
「誰かに尋こうとしてたのは! 教えて欲しいと思っていたのは! 誰かに貴方の存在を認めてもらいたかったからなんだよ!」
剣で斬る。
突く。薙ぐ。
軽々と避け続ける黒い影を、光る刃が追いかける。
「貴方は可哀想だ! 自分で自分を孤独に追い込んで、それでも求めてる。居場所を求めてるんだ!」
だから、教えてあげたかった。
見過ごしてきた物事の中に、きっと答えはあったんだと。
気付かせてあげたかった。
アルフは怒りを隠そうともせず、それでもレゾネクトを憎んだりはせず。
まだ、向き合おうとしてる。
レゾネクトの問いかけに答えようとしてる。
でも。
「何かを獲る為に、居た? それを得ることが、俺の存在を確定させる? それは後付けじゃないのか? ……いや。勇者達も、使命を与えられたのは生まれた後だから、そういうものなのか?」
難しい問題を解こうとしてる子供みたいな表情で。
レゾネクトは、アルフの攻撃をかわし続ける。
「自分で決めて良いんだよ。生まれた理由も生きる意味も。でも、一人じゃ絶対に見つけられない。鏡になる物が無ければ自分の姿を見るのも叶わないように。誰かや何かを通して初めて、自分の形を知るんだよ、レゾネクト。答えが欲しいなら、世界を壊すのではなく、向き合えば良かったんだ!!」
「ぐ……っ」
ヒュ、と。
アルフの剣からムチのように放たれた閃光が。
レゾネクトの体を強かに打ちつける。
左肩から右の脇腹にかけて、黒い法衣が斜めに斬り裂かれる。
隙間から覗く白い肌に、鮮血が一筋滲んで、零れ出した。
「そうか……。つまり」
腕を返し、続けて攻撃を繰り出そうとするアルフの前に。
身を低くしたレゾネクトが すぅっと滑り込んだ。
「貴様は、俺の疑問に
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