暁 〜小説投稿サイト〜
月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 2.
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ーロボと紅蓮弐式」
「…そういう事か」今頃になって納得する竜馬に、「そういう事だ」と武蔵が答える。
「なら、当の主役連中を乗せるのは相当骨が折れる筈だ。虐殺の現場に立ち会ってから、まだそう経っていないんだからな」
「でも…、そうね」ルナマリアが言い直し、後に続けるべき言葉を胸の奥へとしまい込んだ。
 虐殺。それは、エリア11から戻って来たゼロ達の前では皆が敢えて使う事を避けている響きだ。竜馬がこのタイミングで口にするのは、虐殺の事実がもたらした黒の騎士団とクロウ達の間に生まれた溝と、今向き合う必要があるからなのだろう。
 厳しさの中からそっと顔を覗かせるのは、竜馬の優しさだ。
 ZEXISの中で重く広がる空気が自分達のもたらしたものだと、カレン達は理解している。勿論、このままではいけない事も。
 しかし、一見八つ当たりに見えるワッ太と赤木への厳しい態度は、彼ら自身も傷つけているのではないか。怒声を上げたゼロに黙って唇を噛むカレンの姿を、クロウは何度目にしたろう。
「じゃあ、乗るっていうメンバーだけで様子を見ながら始めるのはどうだ? 今回の肩すかしで気が抜けたって気がする連中も参加する。もし、そのうちの何人かでも気持ちを切り替える切っ掛けになれば、儲けものじゃないか」
「儲け!? おいっ! 何処に転がってる?」
 ロックオンの提案、しかも語尾の部分に、すかさずクロウの脳が反応した。目を輝かせ背筋を伸ばしたクロウは、皆の白い視線で、ようやく金の話が聴衆を呆れさせたと悟る。
「…お前の逞しさには救われるよ」と、ロックオンが吐息をついた。
「話を掬われたのにか?」
「上手い…って、褒める気分にもなりゃしねぇ」
「ありがとう」
「あー」ロックオンが、苛々と髪をかき上げた。「じゃあ、お前にも頑張ってもらおう。仲間の為にロハでやってくれ」
「へ…?」
 一瞬表情が凍りついたクロウの肩に、ロックオンの右手がかかる。
「俺も少しは手伝うから」
「おいおい…。その、『少し』を強調する理由を訊いてもいいか?」
 質問を返すクロウは、「こういう事に向いている奴が他にもいるだろう。俺達のよーく知ってる奴だ」と耳打ちされたので驚いた。
 クロウの肩の更に後方、ロックオンの視線の先には三つ編みをした自称・死神の少年が他人の振りをし立っているではないか。相手も、そろそろ視線の意味するところに気がついたようだ。
「えーっ!? 俺までやらされるのか?」
 自らを指さし、デュオがまたかと顔を歪める。
「仕方ないだろう」引き込まれた者が更に1人増え、溜息と共にクロウは抵抗する事を諦めた。「デュオ。どうやら俺達は、貧乏くじを引く宿命の下に生まれたらしい。仲間の為に精々甲斐甲斐しく手伝わせてもらおう」
 なるべく早めに納得するよう促すクロウに、デュオが
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ