月下に咲く薔薇 2.
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は、トレミーの遙か上空で下界を見下ろしている高低2つの軌道リングと、それに付随する軍用設備だ。太陽光発電システムから半永久的にエネルギーを供給され稼働する各監視機器は、確かにZEXISにとっては厄介な代物になる。
これまでZEXISが龍牙島の位置情報を掴まれずにいたのは、トレミーの散布するGN粒子の恩恵と、ヴェーダ、そして龍牙島が誇る謎のシステムが大きな成果を上げていたからだ。隊の保護網を構築していたヴェーダがその役割から外された現状では、頭上にある目は、確かに脅威と変わりつつある。
「その心配なら無用だ」
不安が食堂全体に広がる前に、ハリー大尉のよく通る声がシンの話を中断した。指揮官の適性を持つハリーが早い段階で断言した為、ZEUTHとして彼をよく知るシンの表情にははっきりとした安堵の様子が現れる。
神経質なシンが信頼するだけの事はある。心得た良いタイミングだ。
「各艦の艦長が、龍牙島との通信で異変が無い事を確認している。手薄になったドラゴンズハイヴの奇襲、は謎の相手の目的からは外れた。…但し!」一段大きくなった声が、警告が始まる事を告げる。「緊張が解けた状態で帰還させる事自体が狙いである可能性は、今尚残ったままだ。バトルキャンプならば、三大国家も容易に我々を監視する事ができる。無駄足を踏んで気が抜けた、などと悟らせるな」
「おっ、いい事言うね。俺のする事がなくなったか?」
背後から聞き慣れた靴音が聞こえてきたので、クロウは音の主が自分の横をゆっくりと通り過ぎるのを見守る。
「ロックオン!」笑顔で立ち上がるカミーユの横で、「タッチの差だったな。大尉に、美味しいとこみ〜んな持って行かれちゃったよ」と、ロアビィが小さく肩を上下させる。
「なら、こいつで挽回できるかもな」
右手で2つ折りしたA4サイズの紙をひらひらさせ、ロックオンが皆の注目を確認したところで紙を開いて見せる。
「ほら。全員注目ゥ! たった今、マクロス・クォーターにいる21世紀警備保障から1つの提案があった」
身を乗り出して内容を読み始めるガロードが、「バレンタイン…?」と唇を動かすなり僅かに首を傾げる。
「皆の承諾が得られれば、バトルキャンプに到着後、準備を始めたいそうだ。どうする? 俺としては反対する理由もないし、いいんじゃないかと思うんだが」
ロックオンの呼びかけに、「賛成!」と手を挙げる者が続出した。祭りの予感を感じ取ったガロードに、ティファ、ファ、斗牙も「いいね」と賛成票を投じる。
但し、竜馬達は「反対はしねぇが、俺達抜きでやってくれ」とそっけない態度でよそを向く。
「カレン達の為でもあるのよ。一肌脱いであげたっていいんじゃない?」スポーツドリンクを一口飲んでから、ルナマリアが座ったまま不満を唱える。「結構一緒に動いてる事多いでしょ。ゲッタ
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