月下に咲く薔薇 2.
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ISどころかZEUTHの名前まで知ってる人間が一体どれだけいるか、って話にも繋がるだろう。三大国家の情報管理システムは、その辺りの名前がネット上にうろついたってたちどころに発見する代物だ。ZEXIS、ZEUTH、龍牙島。各機関の情報部が色めきだちそうな3つのワードが並んだメールを、誰なら書く事ができるか。関係者自身と考えた方がしっくりするんじゃないのか」
「別口のハッカーという可能性は?」アスランが、他の可能性として最もあり得そうなものを掲げ、悪戯理由を除外するのは時期尚早ではないかとほのめかす。「俺も遊び半分とまでは考えていないが、ヴェーダをハックした相手の正体は未だ判明していないし、その人物ないしは組織ならできる筈だ。ハッカーは実在する。しかも超級の、俺達に興味のある何者かが」
アレルヤが、椅子に座ったまま頷いた。
「スメラギさんも同じところに着目したから、今回この規模でZEXISを動かそうって決断したんだと思う」
「尤も出発前から、ヴェーダに干渉した犯人と同一人物だと断定するのはまだ早い、とも言っていたがな」
クロウはここで、皆の会話に加わる事にした。椅子には座らず入り口右手の壁にもたれかかるのは、ロックオンが来た時、不足する右側の視野を補ってやりたいからだ。
「実は僕も、そこが気になっているんです」聡明さが溢れ出す表情で、ジョニーがぐるりを見回しクロウの話に自説を加え始める。「ヴェーダをハックした犯人は、ソレスタルビーイングとトリニティの戦闘に干渉しソレスタルビーイングに不利益をもたらすなど、こちら側に対し攻撃的なところが見受けられます。それだけの悪い印象を僕達に植えつけた後、実際に会いたいと話を持ちかける可能性も無いではありませんが、武装まで許して呼び出すのであれば、あのハッカーの事です。更にその裏をかく事もできたのでしょうに、実際は人革連のMS部隊さえ現れませんでした。…そんなに甘い相手でしょうか?」
「だとしても、超級なんて別格のハッカーが他にもゴロゴロいたりするのかよ。こっちの世界には」
素朴な疑問を口にしたエイジに、一瞬訪れた沈黙がNOと答えた。
「それで隼人さんは、三大国家を疑っているんですね」
ロランが納得すると、アスランも「なるほど」と小さく頷いた。
「当初は例のハッカーを疑っていたが、誰も来なかった事で、かえってそいつはシロだと思うしかなくなったって訳か」
クロウが話全体を要約し、エイジやシンの表情が渋面に変わる。
「じゃあ、三大国家なんてところがこんなピンポン・ダッシュみたいな真似をして、一体何の得をするんだ?」突然シンが立ち上がって、トレミーの天井を指し示す。「あ…、まさか龍牙島が俺達のいない間に奇襲を受けてる、なんて…。俺達が出撃する瞬間をとうとう突き止められたとか」
シンが指しているの
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