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逆さの砂時計
解かれる結び目 11
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が重なる。
 咄嗟に『空間』で音を遮断して、レゾネクトの着地地点から回避する。

 耳を押さえられなかったレゾネクトだけが、床に片膝を突いて。
 ……何か言ってる?
 次の瞬間、目を丸くしたコーネリアが、喉を押さえながら崩れ落ちた。

 ダメ、位置が悪い!
 一人だけ離されてる!

 立ち上がったレゾネクトがコーネリアの前髪を掴んで、引っ張り上げる。

「…………!!」

 音を断ち切った『空間』の向こう側で。
 レゾネクトの腕が、コーネリアの腹部を貫いた。
 衝撃で目を見開いた彼女の耳元に、レゾネクトが唇を寄せて何か言うと。
 コーネリアがそれに笑って答えてから、腕が、引き抜かれた。

「……コーネリア」

 止めようとして駆け寄ったウェルスまでが。
 コーネリアを貫いたのと同じ腕で、体を上下二つに裂かれ。
 無惨に転がる筈だった二人の体は。
 空中で灰になって、散った。

「ウェルス……」

 ここまで……
 魔王の目の前にまで辿り着いた二人が。
 手も足も出せないまま、こんなに、あっさり……?

 直接聴いたコーネリアの歌は、人間とは思えない声量と幅を持っていて。
 それがどうしてか、私にも教えてくれた。

『母親が『音』を特性に持つ悪魔なんだよ。父親は普通の人間だったけど、そりゃあもう情けない男でね。夢を持って城下街に出て、あっさり破れて。すごすごと村へ帰る途中で母親に襲われて、何故か意気投合して、大恋愛の末に母親と幼児(わたし)を遺して病気でぽっくり。その後、母親は一人で黙って村を去ったらしいけど、彼女の正体は私とウェルス以外誰も知らない。アルフはそういうのに気付いてもまったく気にしないから助かるんだよな』

 ウェルスは笑いながら言ってた。

『ああ。別に、半分悪魔だろうが何だろうが関係ないだろ? コーネリアは俺のコーネリアなんだし。ガキ共も、俺が面倒見てやるさ。仕方ないから、コーネリアのついでにな』

 弱かったわけじゃない。
 むしろ、強かった。
 人間の中では、二人より強い者は一人としていなかった。
 少なくとも、二人と手合わせをして勝てた人間には、出会っていない。

 なのに。
 なのに、こんなにも、あっさりと……

「…………!!」
「!」

 アルフに抱き寄せられて、正気に戻る。
 音を断った『空間』を戻さないと!

「…………んだ、レゾネクト! 貴方は俺じゃない! 貴方自身を探る為に俺を代用したって、貴方を知ることはできないんだよ!」

 私の肩を抱くアルフの腕が震えてる。
 コーネリアとウェルスを思って、震えてる。

「さっきは同じだと言っていたが?」
「気持ちの有り様が違う! 貴方はマリアを愛してはいないし
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