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逆さの砂時計
解かれる結び目 11
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王城内部にある玉座の間。罠が用意されてる可能性も十分にあるから、マリアは移動後すぐに結界を張って、攻撃に備えて」
「はい」
「コーネリアは歌の準備」
「ああ」
「ウェルスは寝てろ」
「了解……って、おい! 寝てどうすんだ寝て!」
「そうだなぁ。踏み台にでも使おうか?」
「やめて!? 内臓が潰れちゃう!」
「最期くらいは、いい夢見ろよ」
「コーネリアまで! 氷より冷たいその言葉! でも、お前らのそんな所も愛してるーっ!!」
「「キモい!」」

 軽く肩を叩き合ってバカ笑いするのは、緊張で体を硬くしない為。
 いつもと同じで良い。
 いつもと何も変わらないで、そのまま行こう。

 和やかなやり取りの裏に隠した一本の糸を感じつつ、私は立ち上がり。
 翼を全開にした。

「行きます」

 三人は微笑んで、私の体に触れる。
 背中合わせにコーネリアが。
 右手をウェルスが。
 左手をアルフが握る。

 ここに居るのは、私の仲間。
 魔王レゾネクトを退ける為に集まった勇者一行。
 だから今は、それだけに集中する。

 対峙するのは、魔王レゾネクト。
 恐怖と絶望で世界中を震撼させている、悪魔の王。

 私は……
 そこに私が居なくても私は、アルフの世界を絶対に護ってみせる!



 雲間に陽光が差す川沿いから、薄暗い石造りの屋内へ、景色が一変する。
 正面には、大きな石柱二本の間に赤い絨毯を敷いた、二十段ほどの階段。
 段上の四角い空間には、国章を縫い込んだタペストリーが二枚掛けられ。
 その手前で、国王が座る玉座と、王妃が座る妃席が横並びになってる。

 透かさず玉座の間全体を覆う結界を張り、慎重に周囲を窺う。
 室内の左右両端に、細い石柱が等間隔で並んでる。
 天井や側面の壁には、神々を讃える壁画の数々。

 旅の間にも思ってたけど。
 人間の世界ではまだ、ステンドグラスは普及していないのね。
 どの国の城も、神殿の豪華な造りには遠く及んでない。

「……居ない?」

「居るが?」

「「「………… っ!?」」」

 三人に確認するつもりで口にした言葉は、まったく知らない声が拾った。
 アルフの剣が白く淡い光を滲ませる。

「貴方が、レゾネクトか?」

 私の手を離したアルフが一歩前に出て。
 玉座の肘掛けの外側に浅く腰を下ろしている男悪魔を見上げた。
 移動した瞬間には、誰も居なかった筈なのに。
 床を撫でる長い金髪を敷物にして、男悪魔が横目に私達を見下ろしてる。

「『レゾネクト』? ああ。神々の言葉で『死を混ぜる者』という意味か。面白い表現をするものだ。気に入った。それで良い」
「…………?」

 なに? 自分の名前を把握
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