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「なるほど、被害が『移動』している、訳ですね?」

資料をみると『ゼロの世界』が起こる地域は偶然でも何でもないことがわかる。

姫花はこくんと頷く。

「そう、ゼロの世界は歩いて来ているのだ」

一つの国に被害が起きると、そこだけが重点的に被害が起きる。
その被害が、日本から世界に渡り、世界から日本へと『歩いて』いた。
そして、今被害が起きているのはこの街『東京』
一昨日は近くの街、被害が起きたのが昨日と言うところを見ると
それも、まだ来て二日目のようだ。

「なるほど、把握しました。この街で、『必ず』ゼロの世界による被害は、起きるわけですね」

だから、異能者を歩かせ、来たところを返り討ち、と言ったところだろう

「この『ゼロの世界』はどうやら日本に何かあるらしく、一つの都市に一週間は滞在している」

雄大はそれを聞き終えた後、話の区切り目で深々と頭を下げて、外の道へと歩いて行った。

「まて、雄大」
姫花が呼び止める。

雄大が振り向く前に言った。
「異能警察の一人を護衛に置いている。外の車庫に待機しているぞ」

雄大は「了解しました、社長」と呟き、走って行った。
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