第3章 リーザス陥落
第50話 預かる命、解放の時まで
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ば大物だろうとも思える。
「ランス様……あまり、皆さんにひどいことをするのは……」
「何を言う、シィル。オレ様は町を助ける為に戦ったのだ。なら、お礼を受け取るのは至極当然だろう! それに、オレ様の様な良い男に抱かれるのは、女として最高の幸せなのだからな。がははは!!」
シィルは基本的に優しい。
だが、この時は本心はランスが他の女の人と……それが嫌なのだろう。そして、町の事、女の子の事も恐らくは考えてくれている。
「(シィルちゃんは、本当にランスにはもったいない……。それに、かなみを連れてこないで良かった)」
ユーリはそう思っていた。
大したことはしないと言う事で、彼女を帰らせたのだ。かなみは、手伝いたい様な表情をしていたが……、明日から頑張ってもらうという旨を伝えて、別れたのだった。
「……さてと」
ユーリは、黒い玉状の物体を懐から取り出した。それは、先ほどかなみに、所持しているかを訊き、そして 受け取ったものである。
「ん……」
その玉を軽く引っ掻く。すると、亀裂からゆっくりと白い煙の様な物が出てきていた。それをランスの部屋の扉の隙間から流す。
「む? なんだ? 火事でも起きたのか?」
ランスは、部屋に入ってきた白煙に気づき、シィルにそう言っていた。
「ですが、そんな匂いはしませんよ? お外も静かですし」
シィルも気になっているようだ。
確かに火事ならば、外で騒ぎになっておかしくない。それに、火事であれば物が焼ける匂い。焦げ臭さが有る筈だが一切ないのだ。だが、白煙は、止むことなくどんどん部屋中に溜まっていき。
「ごほっ! ごほっ!! おい、シィル! 何とかしないか!」
「あ、は、はい! えっと……窓窓……」
シィルは、部屋の窓を手探りで探して手にかけた。
今回の件で、彼女も消耗しているから、魔法はもう使えないようだ。魔人の使徒との戦いを経て、更に殆ど休んでいないのだから当然だろう。
そして、その瞬間を狙って 1人の影が2人の前に立ちふさがった。
「スリープ」
「んぉっ……!? あ、ぁらぁ……? zzz……zzz……」
「だ、誰ですかっ!? あっ、ら、ランス様っ!!」
煙に乗じて、ランスに近づいたのはユーリ。だが、シィルには影しか見えず。片方の煙に映ったシルエットが倒れるのを見て、驚き声を上げたのだ。
「あー、っとごめんごめん。驚かせたみたいだな。オレだよ、シィルちゃん」
「えっ?? ユーリさんですか??」
シィルは思わず攻撃魔法を唱えようとしたが……、その声は間違いなくユーリのもの。それが判って、魔法を止めた。
「これには色々と事情があってな……、ちょっと手荒になってしまって済まない」
「え
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