第160話 黄承彦がやってくる 後編
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ように捉えていたか理解したようだ。
「少々甘き方ではございますが、それは貴方様の慈悲深き性でしょう。車騎将軍はお若い。その心根を大事になされ大いにお悩みください」
鳳徳公は辛辣な評価を下しながらも正宗に敬意の籠った視線を送った。
「鳳子魚、私に士官してもらえるのだな」
「喜んでお支えいたします」
鳳徳公は正宗に拱手した。
「私の真名は『慈黄』と申します」
「私の真名は『正宗』だ。慈黄、これからよろしく頼むぞ」
慈黄は正宗に拱手した。
「正宗様、私は南陽郡太守・袁公路様の補佐をすればいいのですね」
「慈黄、良く分かったな」
正宗は慈黄の言葉に驚いた表情になった。
「情勢からいって正宗様が直接荊州を治めることはないかと考えておりました。そうなれば任せる人物は劉景升様になりますが、ここまでの不始末を為されては荊州の主としては不適格。折を見て首をすげ替えるしかありません。後任で荊州の事情に詳しい人物で正宗様と近き存在となれば袁公路様以外におりません。袁公路様であれば荊州の民を慰撫ことができましょう。そのために袁公路様を血生臭いことよりわざわざ遠ざけたのではございませんか?」
慈黄は正宗を探るような視線を送ってきた。
「慈黄、流石は荊州一の目利きだな」
「恐れ入ります」
慈黄は正宗に拱手した。
「私の私塾に通う若い者達にお役に立てる人材がおります。また、司馬徳操にお声をおかけください。彼女は私にとって妹同然の人物。信用に足る人物にございます。彼女は正宗様のお側に置くことをお勧めいたします」
慈黄は正宗に人物の紹介をはじめた。その中には司馬徽が含まれていた。
「司馬徳操。水鏡と号し私塾を開いて人材育成を行っているらしいな」
「はい。水鏡学院と申します。私の姪とそこにいる朱里は水鏡学院の門下でした。朱里、久ぶりだな。良きお方に仕えることができたようだな」
慈黄は朱里を我が子を見るような視線で微笑んだ。朱里は気恥ずかしそうに慈黄から視線を逸らした。
「二人は既知だったのか?」
「はい。私が朱里に頼んだのでございます。正宗様がどんな方か良い機会でございましたので様子を見させていただきました。噂など充にはなりません。この目で見てみないと判らないものです」
慈黄は正宗に向き直り頭を下げた。
「正宗様を試すような真似をして申し訳ございませんでした。ですが正宗様ならこの程度のこと許してくださると思っておりました」
慈黄は飄々とした表情で正宗に言った。
「食えん奴だな」
正宗は慈黄を苦笑して見た。
しばらくすると秋佳がやってきた。秋佳は紗耶夏の後ろ姿を確認すると誰か直ぐに分かったのかたじろ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ