第二十三話
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のは千金に値するものだ。原材料が神血であることもあり余裕の非合法の代物。
その完全上位互換をフェルズはその腕で持って編み出し、レイナに仕掛けたのだ。外道を極めた道具なので名前なぞ付けなかったが、簡単に説明すると何でも良いから対象の姿を視界に置き、対象の名前と共に特殊な印を切ればそれだけで対象のステイタスを暴くことができる。原材料はどれも市場で売っているようなものなので、この存在が知れ渡れば完全なる横暴が起こる。
矜持が刺激される中必要悪だと無理やり納得させながら使用してみた結果、神と契約を結んでいることだけは判明した。逆に言えば、それ以外は何一つ解らなかった。
賢者が作り出した最強のマスターキーすら受け付けない三重の防御壁があったからだ。あまりに複雑怪奇な神聖文字によるパスワードが張り巡らされており突破できなかったのだ。
その事実から神と契約しているはずだと断定しただけで、実際のところ全く成果無しである。無所属と言いながら街にソロで何度も行けるなんて神の恩恵を受けていない限り物理的に不可能だからだ。
ステイタスも、どの神と契約しているのかも、どうやって感知しているかも解らない。完全に未曾有な事態。さしもの賢者も攻めあぐねているのだった。
しかし賢者と呼ばれた愚者はそれで終わる男ではない。レイナを常に監視し、分析し、仮説し、永遠の命の中で培った無限に等しい知識と哲学を以ってレイナという闇に対抗する。
戦略を立てる上で最も避けなければならないことは、敵の素性が不明であることである。しかしこの盤上ではそれが大前提であり、あらゆる手を使っても解決できない問題でもあった。
現状だけだとフェルズの意見は希望になりうる不穏分子である。が、不穏である以上油断ならず、またその左右は自分の行動次第でどうとでも転んでしまえる。
賢者は考える。この少女とオラリオの行く末を。
愚者は悩める。これから取る行動とその結末を。
笑うことも泣くことも許されなくなったフェルズ。しかしその口骨はにやりと釣りあがったように見える。
「ふふふ、ここまで悩まされたのはクレア・パールス以来か。結局彼女は私たちの味方になったが、果たしてレイナ・シュワルツはどちらに転ぶだろうか……。ウラノス、私は必ず希望の光を灯してみせる」
神の掟を破った自分を赦し使わす神へ覚悟のつぶやきを落とした。
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