第二十三話
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この都市を見守り続けていたフェルズだが、ここ一ヶ月で妙な者がまぎれたことに気づいた。
何やら例の怪物祭で逃げ出したトロールを、住民に害が出る前に無傷で葬った一般人の少女がいたんだとか。
それ以来から毎日深夜に一人で換金所にやってきては最上質の魔石や戦利品を持って来て帰る不思議な少女が見かけられるようになったとか。
提示される証明書には無所属とありながら街を一人で出入りする美少女がいるんだとか。
集めれば集めるほど不可解な噂ばかりだが、その共通項はどれも背まで伸ばした黒髪の美少女で片手に長柄武器を携えていること。
フェルズは怪物祭の一件を聞いたときその歪さに引っかかり、その少女を特定し監視し続けたがやはりその少女が噂の主らしかった。
レイナ・シュワルツ。十三歳。無所属。オラリオ周辺を取り囲む地区の一部の地主の一人娘。ギルド加入はおよそ一ヶ月前。
洗いざらいレイナの身元をあらってみたものの、歪になりえる要素は全く無く。かと言って突飛な行動ばかりし続けて。自然にいるのが不自然な存在。
フェルズはこの少女を裁断しようとしていたのだ。自分たちの目的の敵になるのか、それとも有望な味方になるのか。
そして今に至るのだが、使い魔による監視は悉く感知されてしまっているのだ。細心の注意を払って時には遥か上空から、時には壁画の装飾の水晶から、時には安全地帯に仕込んだ魔道具から。
あらゆる手を使って媒体を通しての監視を行っても、そのどれもが感知されてしまう。今日の梟も、空を飛ぶ靴を持つ少女より更に上空から、しかも【神秘】所持者として手がけた隠密特化の魔道具を持たせていても、やはり感付かれてしまう。とんでもない感知能力だ。尤もレイナ本人に言わせれば視線を感じるのであって、決してその媒体の存在自体に気づいているわけではないのだが。どちらにせよ超人的な感知能力である。
フェルズとしては魔道具製作者としての矜持が傷つくものの、監視がばれても警戒してくるだけで特定まで踏み込んでこない現状を維持しようとしている。もちろん気づかれない状態での監視が一番良いのだが、さすがに魔道具の手札も減り始めてきており不可能に近いと判断している。
「しかし、真に恐ろしいことは、どの神と契約しているのか一切不明なことだ」
開錠薬という道具がある。名の通り誰かのステイタスを盗み見ることのできる薬で、相当厳しい条件の上に正確な手順を踏まなければならないものだが、それでも誰かのステイタスの詳細を知れるという
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