第二十三話
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能力を解らせている。信憑性は高い。
加えもう一人、与り知らぬ謎の追跡者もいるとなればここで荒事を起こしても百害あって一利なし。
今彼女の目には私の姿が地雷原にしか見えないだろう。歯噛みしながら靴の出力を変動させ闇夜へ舞い上がる。
「理解が早くて助かるよ」
「くッ……この屈辱はいつか必ず果たします……ッ!!」
そんな捨て台詞と共に名も知らぬ高名な魔道具製作者は闇夜へ溶け込んだ。
ふぅ……危なかった。あの子、さらっと抜き放ったの魔剣だったじゃん。しかもベルトに爆弾の形状を取った魔道具も装備してたし、もし戦闘になってたら【ファンファルレーゼ】を使わないといけなかったかもしれない。そこから正体がばれればかなりマズかった。彼女が賢くて本当に助かったよ……。
まあ、話をしてる感じだと悪党とは思えなかったし、大方神様の余興に振り回されてる苦労人ってところかな。ご愁傷様。私はセレーネ様という最高の女神様の元につけて良かったよ。
さて、そんな戯言は置いておくとして、今の私の発言を聞いたのかもう一方の謎の追跡者の視線はもう感じなくなった。追跡者がいるよって発現は少女への牽制でもあったし、謎の追跡者への鎌掛けでもあったから成功した感じだ。
と言っても、先ほどの少女は間違いないく私のことを最大警戒で対処することだと主神に伝えるだろうし、神様によっては面白半分に他の神様へ吹聴するかもだからおいしくない展開に繋がりそうだ。
そして結局も一方の追跡者の手がかりを得られなかったのも痛手だ。せめて何かしらの片鱗さえ零してくれれば良かったんだけど、めちゃくちゃ慎重な奴だ。いや、どちらかというと私の考えを見透かしたような対応だったかな。事実、今までも何度も鎌掛けしてきたのに重要な時だけあっさり引いていったし。今回は追跡がばれていても問題ないのは明白だから鎌掛けに乗ったかもしれない。
思考すればするほど坩堝にはまりそうだ。これも策略の内だったら完全に私の負けだ。やりおる。
「困ったなぁ……」
いい加減潮時なのかもしれないと、薄くため息を付きながら宿舎の戸を開いた。
◆
オラリオは夜が本番と言われるくらい、夜の稼業に偏っている。なのでメインストリートやそれに繋がる端々では喧騒や眩い光が、辺りの暗闇へ漏れる。
その暗闇の一端に含まれる無残な廃墟を一羽の梟が見下ろしていた。白い羽根に縦縞模様。建物の鉄柵に足指を絡めている。梟は片目を青く光らせていたかと思うとやがてその翼を広げ、建物の上から飛び立った。
都市をやさしく照らす数多の星が散りばめられている上空を横断し、白い羽根を一枚どこかへ落としながら、伸ばされた片腕───主の腕へ舞い降りる。
「今回も
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