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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第二十三話
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者が発現していたと言われる、魔法やスキルと並ぶかそれ以上の猛威を振るう【神秘】を備えているはずだ。【神秘】は簡単に言ってしまえば魔道具(マジックアイテム)製作に特化した発展アビリティで、製作した魔道具(マジックアイテム)の質を格段に上昇させる他にでたらめな効果を付与できるというものだ。まあ極めれば永遠の命すら生み出せるんだから、透明人間になれようが空を飛べようが納得してしまえる。

 当然だが【神秘】なんて発展アビリティは神様たちで言うスーパー超絶レアだ。ギルドにステイタス情報を公開しなくてはならない以上、彼女の名は嫌がおうにもオラリオ全土に広まっているはずだ。少し調べれば彼女の所属ファミリアも解るはずだ。

 そのことを重々承知のようで、ここで私を拘束して本拠地(ホーム)へ拉致する気らしい少女はナイフを構え、油断無く私を敵視する。
 私的には疲れてるし、やられたふりして本拠地(ホーム)に潜入するのも良いけど、それはさすがに周りへ情報を拡散させるだけだからダメだよね。
 
 はぁ……アイズと訓練した後だからあんまり戦いたくないんだけどなぁ……。

 全身全霊で「私戦いたくないよ! 察してね!」みたいな雰囲気を醸し出すけど、少女は完全無視。それどころかこれを罠とみなしてるらしく、いかに安全に私を捕らえるか策を練っていそうですらある。

 戦うしかないか……と思ったけど、待てよ? もしかしてこれ穏便に話を付けられるかもしれないぞ?

「戦うのは別に良いけど、その前に君、今この場がいったい何人に見られてるか自覚してるかい?」
「……っ? 何を……?」
「あぁ、やっぱり気づいてなかったんだねぇ」

 私がもったいぶるように言葉を渋らせながら体を捻る。イメージ的には「それは困ったなぁ本当に困ったよぉうんうん(棒読み」という態度だ。
 さすがにイラっとしたらしく口元を一瞬引きつらせた少女は、なお冷静であろうと努めた口調で問いただす。

「下らない御託なら後で聞きます」
「私が知ってるだけで二人は見てるよ。その内一人はバベルの屋上で葡萄酒(ワイン)でも飲んでそうだし」

 バベル、という単語で合点がいったのだろう。さっと背後に聳え立つ摩天楼に一瞥をくれてやった少女は露骨に舌打ちをし短剣を腰に戻す。
 そりゃそうだよねぇ。ゼウス様もヘラ様もいない今の時代で言う最大派閥なんてロキ様かフレイヤ様くらいだし、ここ一ヶ月で調べて解ったことだけどロキ様の本拠地(ホーム)は一等地にあるから、バベルの最上階を使えるのはフレイヤ様のみ。あの神様が目を付けている(おもちゃ)に手を出したらどうなるか、冒険者ならば誰もが容易に想像できるはずだ。
 私のハッタリという可能性もあるが、それは彼女の高等技術をあっさり破ったことで私の感知
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