第二十三話
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手だ。まあすでに正体は割れちゃってるだろうからあんまり意味のないことだけど。
で、フレイヤ様以外に実はもう二人くらいに見られてるんだよね。こっちが本命。深夜ということもあって住宅区は灯りが点いてる家は少なく、また人通りの無い細い裏道を行ってるため仄暗い。本当の一般人だったらしばらく目を慣らさないと目の前すら見えないくらい濃い闇だ。
そんな帰路を現在進行形で歩いているのに、ご丁寧に視線が纏わり付いてきている。どれほどの追跡能力があるか計るためにある程度煙に撒くような行動をしてみたものの、両者共に難なく付いてくる。
相当隠密行動に身を置いている者に違いない。しかもそういう人員を抱えるファミリアとなると数が絞れてくる。まあ神様たちは他派閥の情報収集に手を抜くことはあんまりない。いつ自分が出し抜かれたりするか解らないし、何より面白そうなネタを逃さないため情報網は最大限に広げているのが体外だから特定することまでは無理だけどね。
問題はこの追跡者二名が私という存在に違和感を覚えているということだ。この二名のうち一方はアイズとの特訓最中から尾行してきたんだけど、もう一方は随分前から私をつけている。たぶん怪物祭の一件あたりからずっと。
中々目をつけてくるのが早いことから警戒していたけれど、一向にやめる気配が無いからいい加減向こうも私の抱える違和感に対して嫌疑から確証に切り替え始めていると思う。
今下手に神様たちに私のことを知られると面倒だ。だから敢えてアイズとの特訓を追跡者に見せることで向こうが食いついてくるのを待ったのだ。いわゆる陽動だね。全部自分ひとりでやってるけど。
【自然治癒】があるとはいえ深い疲労を蓄積した体は今にも寝たいと瞼を重くしてくる。今日だけ一時間ちょっと長く寝ようなどと考えながら足を動かし続けて三十分。
ようやく追跡者が餌に食い付いた。
「───」
曲がり角に身を押し込んだ瞬間に、可能な限り最速最短で上空へ登る。
「っ──!?」
私が躍り出た屋上から夜空を見上げても何も見えない。綺麗な星たちが瞬いてるくらいだ。でも、確かにこの暗闇の中から不自然な息漏れが聞こえた。
屋上に足を着けたと同時に一気に蹴り出し、何も無い空間へ銀槍を突き出した。
ビリリッ、と。暗闇から一枚の布切れが剥がれ落ちた。ただし、私の頭上より少し上の方から。
周りに背の高い家は無く、当然私の上から何かが降ってくるなんてことはありえない。しかし何も無いところから忽然と布が現れるはずも無く、また千切れた音も鳴るはずもない。
こんな不可思議な現象を起こせるのは、魔法だけだ。
槍が引き裂いた布の面積はかなり大きく、私の顔をすっぽり隠せるくら
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