第二話「男の決断」
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たではありませんか? 本当の臆病者なら、その場ですぐさま私を置いて自分だけ先に逃げ出していたことでしょう? 本当の臆病者というのは、口だけを荒げて威張りながら堂々としている人こそ、本当の心の弱い人間といえましょう」
「……」
俺は、彼女の言葉を聞いて、ふと頭の記憶から今まで渡ってきた職場の上司共のツラを思い浮かべた。どいつもこいつも口だけで裏表のある奴らばかり、どれだけ仕事が出来て真面目でも、威張ったり、変に口うるさく細かいことを言い、口調を荒げる奴らばかりだった。非常識で理不尽な奴らが俺の周りにしか居なかった。そんな奴らばかりしかいないってことは、俺も同レベルってことかなのか……?
「自分をそこまで非難に追い詰めないでください? ``あなたのおかげ``で、今私がこうし無事でいられるんですよ?」
「え……?」
「さて、もう寝ましょ? 明日は早朝に起きて出発です」
そういうと、弥生はすぐさま眠りについてしまった、最後に発した彼女の言葉が妙に気にかかるが、時期に瞼が重くなって、俺も眠りについた。
――もしかして、俺って嫌な奴らにはできない凄いことをしたのかな?
自信はないものの、眠りにつく中で俺はそう心に呟いた。
翌早朝、俺たちはまだ朝日の昇らないやや薄暗さの残る空の真下を歩いていた。
時期に河原から再び林に戻り、俺たちは険しい足場をゆっくりと慎重に降りていった。
「気を付けて? 足元にコケが多いから……」
「は、はい……」
よろよろとゆっくり降りる彼女を見守りながら、俺は目の前の道のりを宥めた。先は、まだまだ遠い。追手のことも気になる。死んだと思い込んでくれればいいが……
険しい足場が徐々に穏やかになって、長い道のりの果てようやく峠道の道路を見つけることができた。
「やった! これでどうにか遭難はせずにすんだか……」
「あと、もうひと頑張りですね?」
「うん、頑張ろう!」
希望が湧いた俺たちはそのまま疲れることなく道路を歩いていった。歩いていけばきっと山から抜け出せるだろう。
しかし、そんな俺たちの元へ予期せぬ事態が襲い掛かった。
「随分と手こずらせてくれたわね?」
「!?」
その背後からの声に俺たちは振り向いた。昨日、俺たちを襲ったISの連中だ。
「こちら、第二捜索隊。ようやく目標を発見できた。これより射殺する」
『待て、私が行くまで目標を拘束して待機だ!』
「チッ……了解」
仲間からの返事が納得できずに舌打ちするそのISの女、頬に傷を持つその女は、命令とは対照的に俺たちへ銃を向けだしてきたのだ。もちろん、周囲の仲間のISらも一斉に銃口を向けだした。
「気が変わった。やっぱりアンタ達を殺すことにするわ?」
「くぅ……!」
まさに絶体絶命であった。だが、そんな俺の前に弥生が出ると、IS集団に向けて両
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