月下に咲く薔薇 1.
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11での大惨事とロックオンの件がZEXIS内に暗い影を落としている。
戦士とて人間。今は沈痛な空気の方に全員が引っ張られていた。
そこにきて、謎の呼び出しに応じたが空振りとなれば、一気に脱力する者、腹の立つ者も現れる。
バトルキャンプに帰還した後、気の回る者達が何かの手を打つのと、隊の中で何事かが起きるのと。どちらが先になるのだろう。
空中に待機する機体が地上専用機の着艦を手助けし、友軍機で腹を満たした3隻の母艦がその場から離脱を図る。
トレミーの格納庫でブラスタから降りたクロウがまず目にしたのは、ノーマルスーツ姿で「ああーっ!これからこんな事が増えるのかしら」と大きく伸び上がるルナマリアだった。
続いて、キラ、アスラン、シン、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターと、各ガンダムのパイロットが自機から降りロッカー・ルームへと向かう。
今回もロックオンが一番最後になったようだ。目に障害を負ったスナイパーは、40分間の緊張で最も体力的なダメージを受けている。他のパイロット達もロックオンの心配をしている事をクロウは知っていた。それでもその場に留まらないのは、クロウが残っているからだ。
ようやくデュナメスのコクピット・ハッチが開くと、努めて平静を装っているロックオンがハロを抱えてクロウの前に立った。
「よ、お疲れさん」クロウは、軽く片手を挙げる。
「いちいち出迎えてくれなくていいんだぜ、重傷者じゃあるまいし」
「お前の事を気にしてるんじゃないさ」クロウは敢えて嘘を口にする。「俺はこいつを労いにきたんだ。こいつをな」
ポンと叩かれるオレンジ色のハロが、小さな目を点滅させて淡々と応じる。
『クロウ、ヒマジン。クロウ、ヒマジン』
「おいおい。暇だからここに残ってるんじゃないぜ。それに、仲間の労いは有り難く受けておくもんだ」
「へいへい。それじゃ俺が代わりに受け取ってやるさ。お前の労いってやつを」ロックオンが一旦笑顔になった後、ふと真顔に変わる。「なぁクロウ…」
気遣いがあからさま過ぎたか、とクロウは1歩退いた。ロックオンの左目が、僅かだが怒りを宿している。
「別に、大丈夫ってんならいいんだ。ただ、治りかけって時期は誰だって気を遣われるもんだろう」
「そうか? お前が腹を抉られた時は、早々にベッドから追い出されてトレミーの外にポンだったろう。もう忘れたのか?」
「うっ!」クロウの眉間に皺が寄った。どちらかというと痛い思い出の方に属する記憶が、否応なく脳裏に浮上する。
それは、サンクキングダム攻防戦の最中に起きたクロウの敗北をも掘り起こしてくれた。エメラルダンの速攻により中破したブラスタと負傷したクロウは、一旦トレミーに収容されたものの、インペリウムの動向を探る為の餌としてブリタニア・ユニオン上空に単独で放り出さ
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