月下に咲く薔薇 1.
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通り私達は自分達が持つ全てを集め工夫で乗り切るしかないわ。龍牙島の名をほのめかしながら私達をここに誘導した誰かを、もう少し待ってみましょう』
『そうですね』優しい声で肯定するのは、ストライクフリーダムを駆るキラだ。『人革連のMS部隊も現れないところを見ると、少なくとも僕達の危機は望んでいない筈ですから』
『なるほど。確かにここは、静かすぎるくらいだね』
アレルヤの指摘に皆が頷き、一度は全員の心が引き締まった。
ところが、その後更に10分経ち20分が経過しても、地上や空から合図を寄越す者は現れない。
『これは一旦退くしかなさそうだな』
マクロス・クォーターで、ジェフリー艦長が低い声で決断した。
沈黙に意気込みを吸い取られる中で、現地到着から40分少々。その間、ライノダモンを含む次元獣の群れさえ駆逐する事のできるZEXISが、決して歓迎されないアジアの砂漠で哀れな待ちぼうけをくった事になる。
『そろそろ人革連も動く頃ね。必要な警備措置と衝突するの事は、私も望まないわ』スメラギもまた、ジェフリーと同じ結論に達した。『帰還しましょう。但し、龍牙島ではなくバトルキャンプへ』
直後、『え?』という驚きと戸惑いが一部のパイロットやクルーから上がった。
『俺、土産を部屋に置いたままなんだけど』そう零すのは、ダイ・ガードに登場する赤木だ。
『あ、俺も部屋に宿題の絵を置いたままにしてきた!』
トライダーG7のコクピットで宿題という言葉を持ち出すのは、義務教育課程にある小学生パイロットのワッ太しかいない。
ところが『それがどうした』と、やや不服そうにゼロが突き放す。『この謎の呼び出しが何を意図しているかわからない今、龍牙島に直行しリスクを負う訳にはゆくまい。帰還先はバトルキャンプだ。ZEXISのパイロットならば、大事と小事を混同するな!』
『確かにそうなんだろうけど…』青山がその先まで言いかけて、言葉を飲み込む。
クロウは、青山の心中を代弁できる程彼の心境を理解していた。
最近のゼロは、小事の扱いに容赦がない。クロウ達との合流前に彼らが見た光景を思えば無理からぬ事かもしれないが、小事が飛び出すと、共に戦う仲間に対しても非常に高圧的になる。
扇やカレンもそうだが、黒の騎士団のメンバーは今とても過敏な状態にあった。
いや。彼らだけではないか。
ホランド達の離反、そしてロックオンの失われた右目の件では、クロウも親友の眼帯姿を見かける度に悲しい気持ちになってしまう。その原因は自分にあると自らを責めるティエリアの心中も、察して余りあるものがあった。
幸いにも、連れ去られたエウレカを取り戻す事ができた。ニルヴァーシュも更に強化した機体となり、ZEUTHのリーダー格3人がクロウ達と合流するなど良い話題も幾つかある。しかし、エリア
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