月下に咲く薔薇 1.
[2/5]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
XISを牽制する為のMS隊が上空にさしかかる前に、密会を終わらせたいのは山々だ。こちらとしては両者に出来うる限りの誠意を示しているというのに、熱源体が接近する様子もなければ通信一つ入って来ない。
ブラスタの足下500メートルには、大地に溶け込んだ長道が1本、直線とは言い難い線を描いて地平線と地平線を繋いでいた。無灯火で走行できる場所ではない為、もし車両の接近があるのなら、ZEXISとの合流の10分以上前からヘッドライドがその接近を知らせてくれるだろう。
そんな変化を期待しつつ、何も起きないが故の疲労感に包まれる。クロウは、コクピットの中で上空の映像に目をやった。
月齢の事はよくわからないが、よく太ったレモンがいよいよ満月に近づきつつあるという頃だ。雲を生む事のできない砂漠地帯で、月光は実に健気に地上を照らしてくれている。
「来るなら空か。…と言ってもなぁ…」
ブラスタのレーダーだけでなくトレミーやマクロス・クォーター、ダイグレンのレーダーも何一つ発見できてはいないようだ。
『なんか眠くなってきたぞ。俺は』砂地に適したウォーカーギャリアで、欠伸を噛み殺しながらジロンが虚ろな半眼顔になる。『もう30分は待ってるんじゃないか?』
『まだ20分も経っていない。しっかりしろ!! 全員、集中力を切らすな!!』と、指揮官専用メサイアからオズマが各機に気合いを入れる。
しかし、クロウの見立てでも仲間達の緊張は明らかに緩み始めていた。それを如実に表しているのは通信の内容だ。
『まさか、こっちが大所帯すぎて帰っちゃったのかしら。人を呼びつけておいて逃げ出すなんて最低』
ソルグラヴィオンの中で琉菜が口を尖らせれば、『もしその方がお優しいメッセンジャーさんなら、こちらの強そうな顔ぶれに引っ込んでしまわれるのも無理ないかもしれませんよ』とニア姫がぼけをかます。
『その強そうな顔ぶれに、「重装備でお願いします」とわざわざ時刻に場所まで指定する酔狂なんだ。悪戯以上の意図はあるんだろうよ』
やれやれと竜馬が話を軌道に戻す。その推理を後押ししたのは、νガンダムで上空に待機しているアムロだった。
『僕も、竜馬の意見には賛成だ。そもそも龍牙島自体、安易に名を知る事のできる場所ではないだろう。ソレスタルビーイングのヴェーダをみだりに使用できなくなった今、僕達は自分達で推論の精度を上げるしかない。全員の考えを持ち寄って、得た結論を全員で信じる。それしかないんだ』
「流石ZEUTHの頭脳派、いい事言ってくれるぜ」
クロウも相槌を打つと、『ごめんなさい、みんな』とスメラギが通信で謝罪をした。『ヴェーダへのハックと内通者の事を考えると、私達ソレスタルビーイングもヴェーダを頼る訳にはゆかないの。どんな情報を受け取っても今の状況では裏を取る術はないし、アムロの言う
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ