Vivid編
第二話〜リハビリとこれからと〜
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し失礼だったかと思わなくもないが、最低限の礼儀は通すべきと考えてライはそんな行動と言動を取っていた。
「それは良かったです。ところで例の件は考えていただけましたか?」
そう切り返してきた彼女に対して、苦い顔をしないようにするのにライは心底苦労した。
「こちらとしても貴方に対して高待遇で向かい入れるだけの準備はあるのですよ?」
「……以前申し上げた通り、自分としてはそのような過分な評価を頂けることは大変嬉しいのですが、これからのことについては自分にも考えがあります」
ライはあくまで丁寧な言葉を選びながら、彼女の申し入れである『聖王協会に所属すること』を拒否していた。
ライが目覚めてから、定期的にカリムは聖王協会への勧誘の話を持ちかけていた。
先のJS事件に置いて聖王協会の信仰対象である聖王を、そのクローンであるとは言え正面から打ち破ったライを手元に置いておきたいという組織の意向は当然のものであった。
もちろん、そう考えたのは管理局も同じである。だが、JS事件以降管理局に戦力が集中しすぎる事に危機感を感じた他機関がその事に対する直訴文などを多数送りつけており、大手を振って彼を引き入れるのは難しくなっていた。
そして、聖王協会を含む幾つかの機関はそれを教訓にし、ある程度ではあるが自身の戦力増強の為に尽力をしているのである。
「そう、ですか。では気が変わるようでしたらいつでも申し付けてください」
「はい」
定型文のようなやり取りを終え、数秒の沈黙が過ぎるとカリムは深々とため息をつく。それを見ているライは苦笑い、シャッハはカリムとは別の意味でため息をついた。
「毎回、同じような話をしてすみません」
「気にしないで、と言っても無駄だと思うけど、無理はしないで」
疲れきった声で謝罪してくるカリムにライは幾分か砕けた口調でそう答えるしかなかった。
ここ最近、カリムが勧誘に来るのは習慣になっていたが、それは何も本人の意思ではない。もちろん、本当に入ってくれるに越したことはないのだが、一度断られている以上無理を強いてまでライを協会に入れようとする気はカリムにはなかった。
しかし、それでもライを入れようとする上の意向は変わらず、カリムはその役目を自分から志願し、緩衝役としてライの説得を形だけではあるが続けているのだ。
その事をライも承知で彼女に対して申し訳なさで一杯であったのだが、下手に譲歩してしまうとライも自身のすべきことができないと考え、カリムに損な役目を続けてもらっていた。
「取り敢えず、座って。話は他にあると思うのだけど?」
そう促し、カリムは備え付けの椅子に腰掛け、シャッハはカリムの傍に控え、ライはメガネを外し、読んでいた本を静かに閉じる。メガネを外す際、
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