Vivid編
第二話〜リハビリとこれからと〜
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「ご無理はなさらないよう」
彼女がそう告げると、二人はお互いのデバイスを掲げた。
聖王協会本部・一室
この二週間、ライは日が昇っている間はリハビリを行い、それ以外の時間は魔法関係の専門書や管理世界共通の社会基盤などの書籍など、とにかく魔法社会についての勉強を行っていた。
それ自体は機動六課でお世話になっていた頃から行っていたが、その頃と比べ今はより深い部分、例えば大まかではあるが社会基盤ができるまでの歴史なども学んでいる。その為、たった二週間でライの部屋には多くの書籍が幾つかの塔になって積み重ねられていた。
リハビリを終え、汗を流し、身体に負担をかけない程度の食事を済ませると、もう習慣になり始めている読書という名の知識の詰め込みが始まる。
メガネをかけ、眠っている間に伸びていた髪を三つ編みに結わえ、前髪はヘアピンで止めるとライの病室には定期的に本のページを捲る音が響くだけであった。
ほぼ一定のリズムで手を動かし、目は文字を追う。傍から見ればこれ以上ないほどに普通の読書風景がそこにはあった。
(――――――リスト項目の六割を消化。現時点での選出は三十八名。その内、協力の可能性があるのは十一名、か。分かってはいたけれどかなり厳しい数字だな――――――)
傍から見れば普通なのだが、ライの脳内は違う。Cの世界での経験から、ちょっと異常な精度になったマルチタスクを使用し、別個の作業を行う。もちろん、読書によって仕入れた情報も疎かにはしない。それはそれで反復させ記憶するという脳の構造を疑うようなことを涼しい表情で続けるライはいっそ異様であった。
(――――――既存で引き入れることのできる可能性があるのは書庫、陸、あとは警備会社各種。ならあとは根回しが必要になるからJS事件の時の――――――)
脳内で局員や一般人には聞かせられないような内容に差し掛かり始めた頃、ライの部屋にノックの音が響いた。
「……ん?」
よほど集中していたためか、ノックの音に反応するのに幾分か間があったがライは特に疑問も持たずに「どうぞ」と来室の許可を声に出した。
「失礼します、ランペルージ卿」
入ってきたのは、黒いシスター服を着込み腰にも届きそうな金色の髪を持つ女性であった。彼女は一礼してから入室すると、その彼女に続くようにしてもう一人、目覚めてからは見慣れた女性であるシャッハも入室してくる。
「お加減は如何ですか?」
「もうすっかり……とは言い難いですが、少なくとも目覚めた頃よりは良くなっています。それに個室と生活の保証をして頂いているのですから、間違いなく調子は良いですよ、騎士カリム」
部屋に入ってきた女性、カリムからの言葉に少し固めの言葉と接待用の笑顔をつけて返す。少
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