絶対魔王と氷結姫
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理矢理掻き消すなんて」
呆れるように、しかし驚きを隠せない様子でサラディウスを見ていた。
───────無茶苦茶なのはこっちの方よ??何なのあのデタラメな炎の塊は??
サラディウスは内心焦っていた。歴代最強と言われているのはあくまでも魔界での評価だ。だが肉体的に精神的にも脆弱な人間がここまでやるのは計算外だった。
それ以上に驚きなのは抑え付けきた力の解放を余儀無くしたこと。それが鎖の巻き付いた鎧だった。肩、首、胴体、腕、手首に巻き付いた鎖は自身の力を抑制する為のもの。
「氷雨・・・貴女に絶望を教えてあげるわ」
この人間は完膚無きまで叩き潰すしかない。
それくらいの強い意思がサラディウスから見て取れた。先程まで怒号をあげていたのが嘘のように冷静だった。
「やってみなさいよ。私はあなたを倒すだけだから!」
売り言葉に買い言葉。お互いに触発し合い主導権を握ろうとする。先に動いたのはサラディウスだった。膝を曲げ、瞬発力を利用して音速を超える速度で氷雨の所に到達し、蹴り上げた。近距離で音速を超える速度で蹴り上げられたのだ。躱せる人間なんてまず居ない。
一秒も経たずに天井に勢い良く衝突した。余りの衝撃に粉塵が舞い、城全体が少し揺れた。
「・・・・・・ごほぉ?? うっ・・・げほっ!」
血反吐を吐き苦悶の表情を浮かべる氷雨。氷雨ですら躱せなかった攻撃。サラディウスが地を蹴りまっすぐ向かってくる。
しかし氷雨が追撃を許す筈がなかった。
氷雨の背中から無数のレーザーが発射されたからだ。レーザーは不規則に軌道を変えながら全てサラディウスに向かって行った。サラディウスは僅かな隙間を見つけると身体を回転させて潜り抜ける。
サラディウスはクラディウスの切っ先を氷雨の喉元に突き立てた。突き刺すのでなく突き立てたのだ。
「・・・何のつもりよ。サラディウス・・・。トドメを刺しなさい」
慈悲か情けか、其れとも哀れに思われたのか氷雨は意識が朦朧としながらそんな事を考えていたと同時に何故自分に止めを刺さないのか不思議で解せなかった。
「いまここで貴女を殺すつもりはないわ。実力差が分かったかしら?私が察するに貴女は全力を出し切れてないわね?全力を出し切ってから死になさい。私が殺してあげるわ」
「・・・・・・後悔・・・・・・しても知ら・・・ないわよ・・・。【魔力解放】」
その瞬間、サラディウスが弾かれるように地面に叩き落とされた。かなりの威力だったらしくクレーターが出来ていた。
しかしサラディウスは何事もなかったかのように立ち上がる。その全身は小刻みに震えていた。
武者震い。サラディウスは氷雨の膨大な魔力に武者震いを起こしていた。
「やっと楽になれたわ。感謝するわねサラディウス。さて、
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