精神の奥底
49 避けられない未来
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は数値と文章、そして所々にグラフや人体の図のようなものが載っている小中学校の教育では見ることが無いであろうものだった。
一見しただけでは、全くといい程、理解は出来るものではない。
特徴としては最初に日付から始まり、ほぼ毎日欠かさずに更新されていることだ。
彩斗は親指で唇のあたりを触ったり、目のあたりに垂れ下がった前髪をいじりながら考える。
数字には強い方だという自身はあったが、何かの計算式というわけでもない。
だが客観的に考え過ぎていた。
本来なら客観的に考えるのが正解であるはずが、不思議と主観的に見ていくと答えが見えてきたのだ。
「これは…僕のデータ」
それは全て彩斗に関するデータだった。
ここにある数値が身長や体重を含めた身体に関する数値だと考えれば、身長は158センチ、体重が38kg、これは彩斗の身長と体重に一致している。
BMIに換算すると約15.2、平均の22をここまで大きく下回る痩せ型の体型の人間はハートレスの周辺には自分以外いない。
メリーもそれなりの痩せ型だが、身長は140センチあるかどうか、ハートレス自身も170センチ程度はある。
ここまでで彩斗のデータではないと否定する要素は見当たらない。
だがそれを前提に見直すと、納得がいった。
自分のライフサイクル、食事の摂取量、全ての自分のデータと一致する。
それもここ最近のものだけではなく、ざっと10年近くの記録が残っている。
「そんな…そうか…」
それは自分の知らないこと、知りたかったことの殆どが詰まっている、彩斗にとってのアカシックレコードだった。
最近の僅かなデータを見ただけで彩斗はそのデータを閉じた。
それだけですぐには受け止められない現実が彩斗に襲いかかったのだ。
今まで彩斗には自分に関して、数多くの疑問があった。
無論、自分の本当の名前、家族、主に自分が何者なのかということが大半だった。
しかし今、直面しているのは自分の身体の異変、自分の身を反射的に守るような行動が起きないのか、時に痛みを忘れるのは何故か、という疑問だ。
アイリスに指摘されるまでもなく確実に自分でもおかしいと感じていたことだ。
そんな疑問をこのデータは僅か数ページにして答えをもたらした。
「……そうだよね…僕がまともな人間なわけないんだ…」
その答えを知っても正直なところ大して驚いてはいなかった。
むしろ心の何処かでは気づいていたのかもしれない。
自分の命の炎はそう遠くないうちに燃え尽きる。
たとえValkyrieとぶつかることが無く、スターダストの力に魅入られることが無くても。
それ以前から感じていたことだった。
特に理由は無いが、無性に長くは生きられないという感覚が物心ついた頃からあったのだ。
幼いにメリーに何度か打ち明けたこと
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