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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
49 避けられない未来
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ったが、正確にはスターダストシステムの本体、すなわちトラッシュが見入り、訪れるであろう人間が現れると予期していた。
そしてトラッシュが彩斗の元に現れるということも。
開発に携わっていたヨイリーですら知らないこと、隠された製作過程があるのだ。
彩斗の元に現れた理由もそこにある。
そして本来、使いこなせないとヨイリーが考えているシステムを使いこなせる人間がいる理由も。
ヨイリーが考えている資格者の資質には誤りがある。
少年は本棚が広がる空間を見下ろす。

「…朝まで生きてられてるといいな。Valkyrieの諸君?」

安食同様に取引に出かけようとするValkyrieの商人たちの末路が目に見えるようで、少年は笑みを浮かべた。



























「…ッ!?」

同じ頃、安食と少年の悪意を感じ取ったように、彩斗は目を覚ました。
全身の毛穴が開いて、汗が吹き出す。

「…ハァ…」

しかし反面、身体は楽だった。
眠りに落ちる直前まで凄まじい疲労と胸の痛みに襲われていたというのに、それが嘘のようにすら感じられる。
その上、身体中の傷もほぼ完治している。
相変わらず常軌を逸した回復力だった。

「2時32分…」

眠る前にあまりの疲労に外すのを忘れて腕に装着されたままのシーマスターで時間を確認する。
眠りに落ちてから僅か数時間しか経っていない。
再び眠りに入ろうと、身体をゆっくりとベッドに倒して、隣で眠るメリーの寝顔を見て少し安心した。
だが不思議と胸騒ぎがする。
回復したことで今まで通り、シンクロが働いて自分でも意図せずに何かを感じ取ってしまう。
今感じているのは、そこはかとない悪意だ。
街の住人たちの悪意、そしてValkyrieだということは、深く考えずとも分かってしまう。
再びメリーを見た。
メリーは今でこそ、安心したように眠っているが、今でも心にはValkyrieに捕らえられて植え付けられた恐怖が残っている。

「……懲りない連中だ」

Valkyrieに対するあまりの憎さに唇を噛んだ。

「ん…うぅ…」

メリーは寝言を呟いた。
彩斗は少し安心したような顔を浮かべる。
幸いなことに悪夢にはうなされていない。
安心しきった顔をして、いつもどおり寝言を呟いている。
昔からメリーは寝言が多かった。
大して意味のないことが大半だが、普段のメリーからは想像もできないような愚痴も飛び出すこともある。
しかも普段の敬語も殆ど使わず、メリーの本音が聞ける瞬間でもあった。

「大好き…食べちゃいたい…」
「何が?たこ焼きかい?」

彩斗は当然返ってくるはずもないと知りながら聞いてみた。

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