精神の奥底
49 避けられない未来
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を向けた。
しかし少年は振り返り、安食の前のテーブルに目を向ける。
「今からまた街の住人にダークチップとユナイトカードを売り飛ばしに行くの?」
「あぁ。一応、目標の売上には既に達してるし、計画を実行するために必要な数もあと僅かで揃う。だが念には念を...大いに越したことはない」
「確かに、世の中カネ!...なところもあるしね」
少年は安食がやはり抜け目の無い面を確認すると、再び出口を目指す。
だが再び、足を止める。
「あぁ、1つ言い忘れてたよ」
「何だ?」
「星屑の逆鱗にはご注意を。奴は闇夜を味方に身を隠し、こちらが隙を見せるのを、爪を研ぎながら狙っているかもしれないぜ?」
その時の少年の表情と言葉には、さすがの安食も背筋に悪寒が走るを感じていた。
「...スターダストについて、やはり何か知ってるな」
「...まぁ、隠しても仕方ないか」
「キサマ、やはり...」
「多分、安食ちゃんの考えてることはハズレだ。スターダストにけしかけたのはオレじゃない。だがスターダストが現れることだけは何となく知っていたよ」
「何!?」
少年は「バレちゃった!テヘッ!」っとでも言いそうな顔で部屋を出て行く。
それはちょうど、ピンポンダッシュをして逃げていく子供のようだった。
「...クソガキめ...」
安食は、この問題が一筋縄ではいかないことを改めて思い知った。
当初、安食はスターダストはディーラーの開発したものだと思っていたが、自分との戦闘のあった夜を思い起こしてみる。
するとスターダストは途中で暴走して、ジョーカーに匹敵する程の力を持った自分を打ち負かした。
自分たちですら手の付けられないものを開発する程、ディーラーもバカではない。
それにジョーカーのようにプログラムの操作で手駒にできるものと違って、スターダストは人間が使うものだ。
使っている人間が反乱を起こせば、ディーラー自体が壊滅しかねない。
ましてディーラーの最終兵器であるジョーカーにも匹敵しかねない程の力を持っている。
そんなリスクはディーラーなら間違いなく犯さない。
「チッ...」
安食はいつもの様に胸ポケットから携帯している薬を水で飲み込む。
すると頭に昇りかけていた血が引いていくのを感じた。
冷静な思考を取り戻したのだ。
腕を少しまくって時間を確認する。
SEIKO・BRIGHTZのワールドタイム、ソーラー電波で25のタイムゾーンに対応した世界を飛び回る商人にとっては高い利便性を持った時計だ。
安食はニホンが嫌いだったが、その技術力の高さは認めていた。
事実、15歳の頃に手に入れてから、6年間、一度も狂ったことはない。
「2時28分か」
そして再び地図を確認すると、少年同様に部屋を出て行く
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