無垢の時代
山郷で迷う吸血姫
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と街へと向かった。――が、この時もう少し真剣に急いでいれば余計な面倒ごとに巻き込まれずに済んだのかもしれない。まぁ、後悔というのは先に立たないからこそ後悔と言う訳だが。
3
「ねぇ、お姉ちゃん。あそこに明かりが見えるよ?」
思えば、私のこの一言からあの出来事は始まったのかもしれない。
「あら、本当ね。助かったわ〜。あそこに行けば部品が手に入るかも」
姉はそう言って笑ったが、恭也は少し渋い顔をした。
「……いや、今まであんなところに明かりがあったか?」
だとすれば、俺や光が見落としていた事になる――納得いかない様子で、彼は呟いた。
「でも、実際あるわよ?」
「それはそうだが……」
いつも冷静な二人が見落としていたのはおかしな話だし――それに私が気付いたというのも、後になって思えばおかしな話だった。
「光君には悪いけど、ささっと行って部品を買って帰ってきましょう。焚き火もいいけれど、車のエアコンが動けばもっと暖かいわよ」
そこで一際強い風が吹いて、私は思わずくしゃみをしてしまった。多分、それが最後のひと押しになったのだと思う。
「……仕方ない。光には書置きをしていこう」
ため息をついてから、恭也はそう言うと、積もった雪を集め、手早く焚き火の消火を始める。その辺りは本当に手慣れたものだった。焚き火が消えた後、光への書置きを残して私達はその明かり――その村へと向かって歩き始めた。
「二人とも、足もとに気をつけろ」
「ええ。ありがとう」
ガードレールを乗り越えて踏み込んだ以上、元々道なんてない。先頭を歩く恭也が踏み固めてくれた即席の道だけが唯一の頼りだった。それでも、雪の積もった斜面は滑るし、藪が服に引っ掛かった。滑り落ちてしまわないように、服を破かないように慎重に歩く。
「案外近いな……」
「そうね。まぁ、良かったじゃない」
「それは、そうだが……」
茂みをかき分けながら坂を下ると、思ったより早く建物の影が見えてきた。ずっと暗い夜道を歩いていたから、家の明かりにホッとする。
「あら。ちょっと田舎ね」
「そうだな。部品が手に入ればいいが……」
辿りついたところは、街というよりは村といった感じの場所だった。見える建物は全体的に古く、映画のセットと言われれば信じてしまうような、そんな場所だった。
「何か気味が悪いよ……」
「そうね。何か出てきそう」
姉の服の裾を掴むと、意地の悪い笑みと共にそんな言葉が返ってきた。姉の冗談だと分かっていても身が竦む。
「苛めるなよ」
「分かってるわよ」
姉達のやり取りを聞きながら、村へと踏み入る。入ってみれば、そこは普通の村のように見えた。建物は古めかしいけれど、窓には明かりが灯っていて、その向こう側には人が生活している気配がする。それだけで最初の
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