無垢の時代
山郷で迷う吸血姫
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はに語って聞かせていた訳だ。
「なんでそんな話をするの!?」
そのテの話が苦手ななのはが涙目で叫ぶ。
「え? 仕返し」
「だと思ったの!」
思っていたなら聞くな。さて、気持ち良く仕返しも済んだので、俺もそろそろ部屋に帰るとしよう。妹との心温まる交流のお陰で、リンディとのやり取りで憂鬱に傾いていた気分も大分立ち直っていた。
「それじゃ、おやすみ」
今夜は良い夢が見られそうだ。
「あああっ! じゃあ、私、ユーノ君の部屋に行く!」
「それは無理だろう。今、そうさせないためにリブロムが張り込んでいるからな」
今回の一件を不問にして欲しければ、何があっても入れるなと二人には言ってある。ユーノはともかく、リブロムは嬉々として協力してくれるだろう。それはもう、ここぞとばかりに。
「何でそーいうことするの!?」
「男の寝床に忍んで行くなんざ一〇年早い」
言うだけ言うと、なのはの居室を後にする。
「あああっ! レイジングハートもいない!?」
それももちろん、回収してある。その辺は抜かりがない。俺としても、そう何度も恩師の呪いにやられる訳にはいかないのだ。
「バカあああああああっ!」
聞こえない聞こえない。人差し指でデバイスに繋がった紐をくるくると回しながら、アースラの廊下を歩く。すると、デバイスがいまの話は本当か訊いてきた。
「本当の話だって言っただろう?」
答えると、続けてプレシアと同じ現象なのかと訊いてくる。なかなか好奇心旺盛なデバイスだった。しかし、何と答えたものか。正直なところ、救済も生贄もしていない以上、何者だったのかは定かではない。いや、そもそも――
「そうだな……」
あの一件については、思う事がない訳でもない。あくまでも可能性の話だが――
「村でも街でも。そこに人が何代にも渡って住んでいるなら、何人もの……いや、何百、何千もの人間の色々な想いや欲望がそこに蓄積していく訳だ。それなら、あるいは。それが積み重なっていくのなら――」
…――
その日の夜。私は久しぶりに姉と一緒のベッドにいた。あの日の事を思い出してしまい、怖くて一人では寝れなかった。
「結局、あの村は何だったのかな?」
あの後、私は図書館であの村について調べてみた。確かに、あの村は存在していて――あの夜経験した悲劇に見舞われた事までは、何とか調べる事が出来た。けれど、それだけだった。事件の犯人が捕まったという記述は見つけられなかった。
「そうね……。実は私も気になって、あの後光君に訊いたんだけど――」
姉は私の身体を抱き直しながら、言った。
「あの怪物は、あの『村そのもの』の想いだったんじゃないかって。忘れて欲しくない。皆がいた頃に戻りたい。そんな『村そのもの』の欲望から形作られたんじゃないかって」
もっとも、単なる
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