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志を抱き才と戯れた男
1話
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[9] 最初
華琳様、ですか。貴女らしい、綺麗な響きだ」

 言葉を遮り、華琳様が真名を託してくれた。その気持ちが、嬉しく思う。

「我が真名は……、奉。最初に主に捧げると決めていた名です。貴女と共に戦った者の中に、そう言う者がいたと覚えて頂ければ――」

 そう言葉を紡ぎ、目を閉じる。先ほどから、言葉を続けるのが億劫だった。瞼が重く、酷く眠かった。笑みを浮かべる。ちゃんと笑えているだろうか。それだけが気がかりだった。






「ええ、大丈夫よ奉。あなたの事を、私は忘れない。あなたのおかげで、私は飛躍できるのだから」

 戯志才が息を引き取った後、華琳は小さく呟いた。その言葉に、どれほどの思いがこもっているのかは誰にも解らない。それは曹操だけが知る事だった。


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