第六十五話
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だと僕は考える。これは間違っては居ないと思う。
次に起源に関して考えてみよう。父さんが言うには自らの根源の浅い部分が起源らしい。逆に言えば起源を発展、または掘り下げれば根源に辿り着けるとも言える。
……まさか僕に根源に至れというのか?
この世界において未だに父さんしか辿り着いていない根源に、父さんと同じ舞台に
“お前はオレを越すことが出来る”
その言葉が頭の中でリピートする。
分かったよ父さん、やってみるよ。
父さんが根源に至ったのは必要に駆られて偶々だったがどうすれば良いかはある程度判明している。自分の起源が何かを知った上で内面の奥深くに潜れば良い。だけど今は戦闘中。どうやって時間を稼ごうかな?考える時間も勿体ない。とりあえず物理的魔術的精神的に動きを止める。倉庫からの転送と投影を使い大量の鎖をナギさんに巻き付ける。もちろん鎖は封印用のものだ。さらに周囲に機雷を散布する普通に目視出来るが精神的に動きを止めるにはこれ以上の物は無い。その隙に内面へと意識を向ける。
今までと違い、最も嫌悪するアレの奥にまで潜る。内面世界にあるアレは黒い影の様な物だ。その奥にあるのはもちろん黒一色。何も見えない位の黒一色。目の前にあるはずの自分の手が見えない位に。そして何より気持ち悪い。それでも無理をして奥に潜る。奥に進む程気分が悪くなり、胃の中の物を戻す。もちろん現実の僕がだ。意識を一瞬だけ現実に戻したからこれは事実だ。いきなり倒れて戻し始めた僕に会場のほとんどが驚いているようだがダウンカウントも取られていないしナギさんも動きを止めてくれている(鎖は全部壊されてこれから機雷を駆除しようとしていた)。再び内面に潜り更に深みに向かう。
そして、一番再奥に辿り着く。
そこには
何も無かった。
正確にはここに辿り着くまでと同じ光景が続いているだけだ。
「ここまで来て、結果がこれなのか。結局僕には何も無いということなのか」
「だれかいるの?」
誰もいるはずの無い場所で誰かに声をかけられる。周囲の気配を探ってみても誰もいない。
「誰か居るのか?」
「!!いるよ。ぼくはここに」
誰かの必死な声が響くも、それが何処からの呼びかけなのかが分からない。
「何処だ、いや、その前にお前は誰なんだ」
「わからない、ぼくはだれなの?」
そんなのはこっちが聞きたい。
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