第六十五話
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強い人間ではない。それはただ単にオレが歳をとりすぎているだけだからさ。でもな零樹。お前は今でもオレの様になりたいと、願望を捨てることなく思い続けているか?』
『もちろん』
『なら、諦めるな。オレならここからでも立ち上がる』
ああ、そうだね。オレは父さんの真似をする。これは変えられることではない。なら立ち上がるしかない。そう思うと自然と身体が動く。
『それにな』
念話にイメージが付いてくる。アリスが僕が沈んでいる辺りを見ながら叫んでいる。
『女を心配させたままなんて無様な姿を曝すなんてこともするな』
全く持ってその通りだ。僕はアリスと一緒に生きていくと決めたんだ。それをナギさん達にも認めてもらいたい。水を蹴り飛び上がる。
『最後に一つだけ教えてやる。お前はオレとエヴァの子供で、オレの血を濃く継ぐ』
何を言っているの?
『つまりはお前はシンの血も濃く受け継いでいることになる』
シン
父さんが言うには父さんの世界で最強の生命体の固有の名。世間で知られている名は寄生型思念体。そして世界を産み出した存在。
『どちらかと言えばシンの血が最も濃い。そしてお前の起源もシンのそれに近いものだ』
それはどういう意味なの?
『お前の起源はさ“世界”なんだよ。お前が望めば“世界”は答えてくれるさ』
世界?何とも分かり難いものだけどそれは無いだろうと否定する。
『お前は否定するだろうけどな、今日こそハッキリ言ってやる。お前はオレを越すことが出来る。だから勝って来い』
“勝って来い”
父さんから初めて聞いたよ。いつもなら行って来いか、ちゃんと戻って来いとしか言ってくれなかったのに、勝って来いと父さんは言った。なら勝ち目は残っているのだろう。水面から飛び上がり舞台に立つ。タイムアウトギリギリだったらしいが問題ない。
さて、どうやって戦おう。魔力は世界樹からの供給があるから問題無し。体力もまだ半分位はある。気力も十分。父さんから助言も貰った。
ならば父さんの助言の意味を考えよう。父さんが無駄なことを話すわけが無い。だが、僕の起源が『世界』とはどういうことなんだ?それが勝利の鍵になるのは分かる。だが、『世界』とは何なんだ?
単純に考えるのならば固有結界だろう。だけど僕に固有結界が無いのは分かっている。僕の最強の姿であるアレが固有結界の代わりに存在しているからだ。だからこれは違う。ならば考え方を変えよう。そもそも世界とはなんだ?
今僕たちが住んでいる世界、父さんが生まれた世界、父さんやリーネ姉さんが可能性を引っ張ってくる平行世界、位相をずらした魔法世界。僕が知っているだけでも、ああ、漫画の世界とかもあったな。まあ、いくらでも存在するもの、それが世界
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