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迷子の果てに何を見る
第六十五話
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いた魔力を拡散させ、元の僕の姿に戻る。身体が変化したズレを戻しつつ、立ち上がる。

「これで、ダウンしろ」

軽くふらつく脚でナギさんに蹴りを放つ。これで全てが終わると思った。その脚が掴まれるまでは。

「なっ!?何処にそんな力が」

「言っただろう。オレの限界はオレが決めるもんだってな。そろそろヤバいだけでまだまだオレはやれるぞ」

片手で場外まで投げ飛ばされる。素早く起き上がり再び千の雷を2発取り込み殴り掛かる。ナギさんも同じ様に千の雷を取り込み再び高速戦が繰り広げられる。だが、今度は僕の方がナギさんを圧倒する。世界からの拒絶のダメージが残っているこの状況でなければ勝ち目は薄い。それを実感したからこそ猛攻を駆ける。

「うおおおおおおおおおおおおおおお」

大気中の魔力で投影を使い大量の宝具を出しながら次々に持ち替えて斬り掛かる。それでも身体を掠めるだけで捌かれる。それでも攻撃の手を緩めることはしない。

「ちぃ」

ナギさんが懐から何かを取り出して剣先に投げつけてくる。止めることが出来ずに何かを切り裂くとそれが炸裂する。爆発の大きさから燃える天空を封じ込めた弾丸だったのだろう。指向性を持たされていないそれは僕とナギさんを巻き込み場外まで飛ばされる。予想以上にダメージを追っているのか池の水が全身の傷に染みる。さらに予想外は続く。闇の魔法は先程の燃える天空を喰らった時に解除してしまったがそれはナギさんも同じだった。それにも関わらずナギさんは水中で雷系の魔法を発動させ自分も巻き込んで感電させる。戦闘服にはもちろん対電能力も付加されているが、その対電能力以上の威力に筋肉が硬直し肺の中の空気を全て吐き出してしまう。それに対してナギさんは元から来ると分かっていたので耐え凌ぎ舞台に再び上がっているのが見えた。追いかけようにも痺れが未だに取れず動けない。このままでは窒息して死ぬだろう。
…………やはり僕では英雄には勝てないのか。

『零樹』

急に父さんから念話が入る。

『父さん?』

『諦めるのか』

『……諦めたくない。けど、駄目なんだ』

『どうしてだ』

何故、今の状況でそんなことを聞いてくるのか分からないけど、空気を吐き出してしまい頭の回転が鈍っている僕はいつも隠していた本心を話してしまう。

『父さん、僕は父さんみたいになりたいとずっと思っていた。決してなれないと分かっていても父さんに追い付ける様に色々なことを真似した。父さんの様に強く、家族を愛して、守れる父さんの様に。そんな願望が僕の全てなんだ。僕はただ父さんの真似をしているだけの空っぽな存在なんだ。だからアリスに魅かれた。家族以外で始めて父さんの様に心が強いアリスに』

『オレはそんなに心の
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