第六十三話
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分かります。だから、出来るだけ早めに決着を」
「分かっています。では行ってきます」
「幸運をあなたに」
離れようとする零樹にキスをする。
「勝利は貰ったも同然ですね」
そう言って零樹が出て行くのを見送ってから観客席の方に向かいます。刹那さんやエヴァさんの隣に行き、舞台に目をやります。
side out
side 零樹
対峙するのは両目を布で覆った一人の男。通称『殺人貴』本名は遠野志貴。魔眼の中でも最高峰に位置する『直死の魔眼』を持ち、母さんと同じ、真祖の吸血鬼の女性を守る騎士。一人の女の為に世界を敵に回し、その身を壊していくも人間であることをやめない男。一人の男としてその生き様を尊敬するが、勝負には関係ない。
タカミチに使ったナノマシンは既に無いので今回は普通に戦う。執事服に合わせてシルバーのナイフとフォークを投影する。『殺人貴』は飾り気の無い一本の小刀を逆手に構える。開始の合図と同時に『殺人貴』が視界から消えるが、慌てずにナイフを背後に構えて小刀を防ぐ。それと同時に後ろ回し蹴りを放つも空中を跳んで躱される。
虚空瞬動とは異なる空中歩法、これが噂に聞く七夜の一族の暗殺技法か。
それにしても気配が静かすぎる。後ろに回り込まれた時も気配ではなく空気が動いていたことから気付けただけだ。しかもナイフが斬り落とされている。
新たに投影でナイフを大量に出し、投擲する。普通に躱され斬り掛かられるので距離を取って動きを観察し続ける。
5分程逃げながら観察した結果、今まで見たことも無い動きをしていた。というより人間にこの動きが出来るのか、というのが感想だ。
古来より武術には動物の動きが取り入られることが多い。動物の動きはその動きに特化していることが多いので当然だろう。だが、この動きは見たことが無い。まるで蜘蛛の様にこちらの死角に回り込んでくる。鬱陶しい。空中でも巣を移動する蜘蛛の様にあらゆる方向に移動する。しかも途中から包帯が外れ『直死の魔眼』が解放されている。足場が殺されたり、魔法が殺されたり、投影の武器が殺されたり、大気中の魔力が殺されたり……うん、仕掛けていたトラップとかも全部殺されちゃった。はぁ〜、やっぱりやるしか無いのか。パクティオーカードを取り出し
「アデアット」
アーティファクトを装備する。見た目はただの片眼鏡だが、これを装備すると同時に世界が変わる。片眼鏡を付けている左目に映る世界全てに、黒い線
・
と点
・
が現れる。線と点はあらゆるものに付いている。今立っている舞台に、周りの池に、澄み渡った空に、『殺人貴』の身体に、僕の身体に。世界に死が満ち溢れる。なぜか父さんの身体には点は無いし線も数が少ないし薄いけど(母さんにはちゃん
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