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迷子の果てに何を見る
第六十三話
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だからこそそこに逃げ込むのは最初から分かっていた。
既に回避できない距離まで接近している。

「アデアット」

カードが雷光で出来た槍に変化し、リーネさんを貫く。

「NON SANZ DACICT」

ヴァサヴィ・シャクティが当たったという事実を改竄……できない!?
何故?という疑問は浮かばない。

「幻想空間。やられましたね。私の負けです」

その言葉と共に世界が崩れ去り、私は舞台に叩き付けられていた。

「 悪夢ゆめは見れたかしら」

「ええ、リーネさんもアーティファクトを使っていましたか」

「私のはコンタクトだから常に付けているのよ」

「油断しました」

「今回は私の勝ちよ」

「そうですね。でも、ちょっとやり過ぎですよ」

起き上がろうとすると激痛が走ったので軽く魔法で調べるとアバラが殆ど折れていた。幸いにも内蔵には刺さっていないのでこの分なら簡単に治療できますけど。

「姉さん、やり過ぎです」

「ごめんなさいね。こっちも必死だったのよ」

「はぁ〜、姉さんじゃなかったら殺してますよ」

溜息をつきながら零樹は私を抱きかかえます。観客席から黄色い声が聞こえますけど完全に無視します。

「それじゃあアリスの治療とこの後の試合の準備があるのでこれで」

そのまま医務室に連れて行かれ治癒魔法をかけてもらいます。

「それにしても、本当に良いんですか?こんなに魔力を使っちゃって」

「ええ、ちょっとした細工をしていますから魔力に関しては使い切っても良いんです」

「細工、ですか」

「これの恩恵を受けれるのは僕と父さんだけですからね。存分に利用させてもらいますよ」

「そうですか。勝てますよね、お父さんに」

「……不安ですか?」

「強くなればなる程、お父さん達の強さが理解できてしまいます。あの高みに辿り着くには多くの時間か、色々なものに愛される必要があるのが理解できてしまいます」

「父さんはとてつもなく多くの時間を、ナギさんは色々なものに愛された上である程度の時間を」

「そんな人に勝てるのでしょうか。私はリーネさんにすら勝てませんでした」

「相手が悪かったとしか言えませんね。そもそも姉さんとナギさんは全く異なるタイプですからね。それに僕のことを信じられませんか?」

「その台詞、アーティファクトで死んだ時にも言っていましたよね」

「……それは置いておいて」

「駄目です。というより次の試合、使うつもりなのでしょう」

「それしか『殺人貴』と真っ向から戦う手段が無いですからね」

「できれば使って欲しくないです。でも、それが必要なのも
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