第六十二話
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族であるということに執着していることは直に分かりました。けど、あなたは自分の家族という輪の中に自分を入れていない。そんな矛盾を抱えている。だからこそ家族に捨てられないかと恐怖する。その恐怖から逃れるために家族のために何か出来ないかと我武者らに動いて傷ついて、それで心配をかけ、心配をかけ続けたことからまた捨てられないかと思い、ループする。それがあなたの根底にあるもの」
「僕は、僕は」
「目を反らすことは許されませんよ」
「でも、僕は、リーリンに、みんなに心配を」
「それで良いじゃないですか」
「えっ?」
「家族に心配をかけたなら、今度は家族を心配してあげれば、それで良いじゃないですか。それが本当の家族なんじゃないですか」
「……何でそんなことがわかるんです」
何故、か。
その疑問に答えるために懐からパクティオーカードを取り出す。
「アデアット」
パクティオーカードのオマケ機能である衣装替えを利用して烏族の戦闘衣装に着替える。アーティファクトであるタケミカヅチを舞台に突き刺し、背中に意識を集中させる。次の瞬間、私の背中に一対の白い翼が生える。その白い翼に何人かが目を見開いている。
「……少し、昔話に付き合ってもらうことになりますが、構いませんか」
「……はい」
「私は……捨て子でした」
「ッ!?」
「勘違いしないで下さい。本当の両親にはちゃんと愛されていた記憶が残っていますから。私が捨て子だったというのは3歳の時、両親が亡くなってからのことです。この羽で私がどういう環境に居たかは分かるでしょう。私が父上に初めて会った時、私は自分の足で立つことも言葉をまともに話すことも出来ない位に消耗していました。それから父上に引き取られ家族として迎えられ、それからは楽しい日々を過ごしました。けれど、ふと思ったのです。私を救ってくれた父上達に私は何を返せば良いのか、と」
「それは」
「ええ、あなたと似た様なものですよ。当時はどうしたらいいのかとバカな頭を必死に使って考えました。辿り着いた答えが姉上や零樹が危機に陥った時に自らの命を投げ出すことでした。そして、それを為す機会はすぐに訪れました。あの日、このちゃんを攫おうと数人の傭兵が私達に襲いかかり、私はこのちゃんと姉上を逃がすために特攻をかけました。私が覚えているのはそれだけです。次に覚えているのは複雑な顔をしながら私の治療を行なっている父上の姿です。目を覚ました私に父上はこのちゃん達がどうなったのかを教えてくれました。その後、頭を叩かれ抱きしめられました」
『なぜ無茶をしたんだ。心配したんだぞ』
「私は正直に、思っていたことを話しました」
『馬鹿だな刹那。そんなことをオ
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