第六十二話
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水しぶきが上がった位置から複数の影が飛び出す。影分身をして10人に増えた彼が飛びかかってくる。
『斬空掌・散、弐式』
両手に込めた気を散弾のように飛ばす。これだけでは障壁などで簡単に防がれるので障壁無視の弐式で放つ。弐式の存在を知っているのか中心にいた一人が刀から気を飛ばして迎撃する。迎撃し損ねた分は散開して躱す。次々と斬り掛かってくる彼の斬撃を紙一重で躱しつつ目を見て観察し続ける。目から読めるのは焦りと苛立ち、そして微かに恐怖が見て取れる。焦りと苛立ちは今の状況から発せられるのが分かるが何に恐怖しているのかがまだ見えない。これ以上は言葉を交えるしか無いでしょう。
「何に怯えているのですか」
「!?急に何を」
本体が斬り掛かってきた時に気による強化から咸卦法による強化に切り替え、手刀で鍔迫り合いを行い、話しかける。
「何を恐れているのです。此所で負けてもあなたが失うものなど無いでしょう」
「僕は恐れてなんて」
「いいえ、あなたは何かを失うということに怯えています。まるで子供のように」
「そんなことは無い」
莫大な気が錬金鋼に流され、分身が時間を稼ぐように動く間に本体は身体を捻り、刀を隠すように構える。
これは素手では無理ですね。舞姫に手を向け手元に来るように念じる。魔法使いが離れた所にある杖を呼ぶのと同じように舞姫が手元に納まり素早く構える。
「うわああああああ」
「斬界剣」
後になって知ったことだが彼が使ったこの技は、彼が自ら生み出した技で浸透斬撃の一種で、一閃として放たれたそれは目標の内部に浸透し、目的の場所で多数の斬撃の雨となって四散する技らしい。それは一瞬の楼閣の如く、敵の間合い内に回避不可能な斬撃の重囲を築き上げる所から霞桜と呼んでいるそうだ。
だが私の放った斬界剣は世界そのものを切り裂く剣。一閃ごと世界そのものを切り裂いたことで霞桜は私と彼の間で斬撃の雨となる。私と彼を巻き込んで。
「「ぐうぅぅぅ」」
二人とも技を放った直後の為、回避することが出来ずに斬撃の雨をまともに喰らう羽目になる。それでも出来る限りの障壁を張り少しでも耐える努力をする。間もなく斬撃の雨が止み同時に距離を取るために離れる。傷の具合は彼の方が酷く観客席にいる彼女は今にも泣きそうな顔をしています。
「はぁ、はぁ、あなたは自分がどのように思われているのかが分かっているのですか」
「だ、だから、一体何、を」
「分からないのなら、言って、あげますよ。あなたは彼女に、どれほど心配、かけているか、理解していない」
私に言われて初めて観客席に顔を向ける。
「あっ」
「あなたが、家
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