暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十三章 「宝具」
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「う、うぅ……」
 痛い、頭が痛い。
 身体がどこかしら傷付いている、というのは俺にとって割とよくある話だ。
 いくら鞘の加護があったところで、あくまでそれは投影品。
 乱用は出来ないため、身体から生傷が絶えることはなかった。
 だからと言って、苦痛に慣れる事などある筈はない。
 いや、むしろ慣れてしまってはいけないのだろう。
 痛みを感じる事なく動けるようになってしまえば、機械と同じになってしまう。
 痛みを感じていられる内は、少なくとも自分を見失うことはない。

 ところで、何でこんなに痛むんだ?
 俺は確か―――。
 考えようとしたところで思い出した。
 路地裏での戦いで、俺とシャナは負けたのだ。
 情けない事に俺は意識を失って、フリアグネに拉致された形になる。
 いつの間にか刈り取られ、失われていた意識がゆっくりと覚醒していく。
 とにかく今は現状を把握しないとな。
 まずは身体からだ。
 ―――同調開始。
 声には出さないが、詠唱する。解析位なら、無詠唱で出来るようになってるからな。
 外傷は全て修復済み。
 全て遠き理想郷は既に身体が吸収、魔力として霧散。
 頭痛の原因は、頭部に受けたダメージが抜けきっていない為と思われる。


「ここは―――、どこだ?」
 定型文のように口にしてしまったが、一つ確実に分かることはある。
 ここは、フリアグネの本拠地だろう。
 二度の接触から奴の性格を推察して、セーフハウスの類いを用意しているとは考えにくい。
 ―――本拠で構えて戦況を傍観する。
 奴はどちらかと言うとそういったタイプだろう。
 そして、俺はまだ生きている。
 フリアグネの目的はあくまで、都喰らい。だが、ミステスたる俺は、狩人としての奴の標的だ。
 そして、あの路地裏での戦闘は奴が圧倒的に優勢だった。
 そんな中、俺を拐う事に成功した上で俺が無事に生きているという事は、奴の狙いはシャナを潰す事だと思われる。
 それも、より確実な方法でだ。
 あの場で何故、彼女を見逃したのか?
 奴の真意は分からない。
 今、分かることは俺達の立場は逆転してしまったと言うことだ。
 フリアグネを誘き寄せる役の俺が、シャナを誘き寄せる餌になるなんてな………。
 状況は最悪と言っていい。

 本拠というものは外敵に対する最強にしての最大の守りだ。
 魔術師で例を挙げれば、遠坂ならばその本拠は、幾重にも張り巡らされた防御・探知結界に守られている。
 アサシンのクラスのサーヴァントでもなければ、まず奇襲は不可能だ。
 そうなれば必然的に正面から挑むしかない。
 その上、冬木市中で第二位の霊脈を有する遠坂邸はさながら要塞ともいえる。
 例え圧倒的に戦力差があったとしても、あの地なら
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