暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十三章 「宝具」
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のだろう。
「当たり前の事だな。間違った事をする奴がいれば、それを止める奴もいるって事だろ?」
「違いないね。ともかくこの世界には『存在の力』が満ち溢れている。それを使って我々『紅世の徒』はこの世界に顕現しているんだ」
「それも知ってる、世界を構成する力をお前らが乱獲してる性で歪みが多くなってるってのもな」
 一方的に聞き手に回るのも芸がないから、皮肉を飛ばす。この程度の挑発で熱くなる奴じゃないって事は既に分かってるし、挑発に乗るなら後で色々とやり易い。
「ふふ、それについてはノーコメントだ。続けるよ。『存在の力』を乱獲されると困る。だからこの世に顕現している『紅世の徒』を狩り殺そうとする。だが『紅世の徒』は『存在の力』がなければこの世に顕現出来ない。笑える話だろう? 奴らは『存在の力』を消費させない為に、自らもその力を消費するんだ」
 それの意味する所は即ち、矛盾。完全な悪循環だ。
「けど、お前らが消費する量よりも少なければ―――っ!?」
 思わず反論してしまうが、途中で詰まってしまう。
 問題ない――とは言えない。それは衛宮士郎が決して容認してはならない事だからだ。9を救う為に1を切り捨てるなんて、絶対に間違っている。
 そんな俺の変化を感じ取ってか、フリアグネはガンスピンを止めてヘラヘラしている顔を真顔にする。
「奴らの方が消費する量が必ず少ない、なんてことはないよ。それに大きな歪みを防ぐ為に自ら歪みを作るなんておかしい話だ。そこで奴らは考えた。自分の身体を作れないなら、元からある入れ物を使おう、とね」
「それが――フレイムヘイズ、か」
「そういう事だよ。人間という入れ物を使う事で奴等はこの問題を解決した。だが、人間なら誰でも良いという訳でもない。器に物を入れる為には、元々入っている物を捨てなければならないからね」
「…………」
 元々入っているものを捨てる、その言葉の意味するところはつまり……。
「自分の存在を捨てて、別の存在を受け入れるなんて普通の人間には出来ないだろう? だから、奴等は入れ物に僕達に復讐しようとする者を選んだんだよ。おのれの目的の為には命も要らない、そんな人間をね」
「―――っ」
 まさか、シャナもそうだと言うのか。シャナも復讐のために戦っているのか。
 不意にメロンパンを食べているシャナの顔を思い出す。あの顔の裏に何を考えていたのか、そんな事は俺には分からない。
 だが、復讐のために生きる人生。そんなものがあるならば、それはきっと――。
 ――とても、悲しいものだと思った。
 かつて自分と共にいた、騎士王の国への献身。それと同じだ。いかに自分のしたい事とはいえ、己を殺して行動するなんて間違ってる。
「だが、いくら入れ物があってもその大きさを選ぶことは出来ない。人間の全てが同じ容量では
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