”狩人”フリアグネ編
十三章 「宝具」
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か両手に現れた宝具を見せ付けてくる。
「それじゃ、質問だ。この二つの宝具、一体なんだと思うかな?」
フリアグネの右手には銃が握られ、左手には指輪がはめられている。
「難しい質問をしてくるな。何と聞かれても、回転式拳銃と指輪にしか見えないだろ?」
拳銃といった様な、複雑な機構を要している武器を、俺は『投影』出来ない。
構造通りの物は作れるのだが、俺が作った物はなんというか、その……『空っぽ』なのだ。
銃にはそれほど興味もないし、それが何なのか想像も出来ない。
「それともなんだ? 古典的な見てくれの割にレーザー銃だとか、指輪に見えるけど実は小人用の腕輪、なんてオチか?」
癖のあるフリアグネにピッタリの宝具だとは思うけどな。
「それはそれで面白そうだね。けど、残念ながらハズレさ」
ハズレだ、とおどけて見せて指輪を前に出すフリアグネ。
「まず、これだ。残念ながら、これは小人用の腕輪じゃなくてれっきとした指輪だよ。名前は『アズュール』っていう、簡単に言うと火避けだね」
見ててごらん、と言ってフリアグネは近くのマネキンに指輪を着ける。少しは離れて掌に炎を作り、マネキンに向けて発射。
炎はマネキンを破壊する事なく、霧散する。マネキンには傷一つなかった。
「効果は見ての通りさ。指輪に力を込める事であらゆる炎、爆発を無効化する。フレイムヘイズや我々のような紅世の住人は、基本的に炎を武器として戦っている。それだけ言えば、君のことだ。もう説明は要らないだろう?」
そう言ってマネキンの指輪を外し、フリアグネは自分の指につけ直す。
「――っ」
俺はその様を見ていて、何も言うことが出来なかった。
どの程度まで無力化出来るのかは分からないが、奴の言葉をそのまま受け取るとなるととんでもない内容になる。
奴は「フレイムヘイズは自分を傷付ける事は出来ない」そう言っているも同然なのだ。
フレイムヘイズや紅世の連中は炎を使って戦う。しかし、奴に炎は通用しない。
なんてデタラメなのだろう。正しく鉄壁の護りなのだ、あの指輪は。
「ふふっ、この指輪でそう驚かれるのも悪くないんだけど、これは本命じゃないんだよ」
そう言ってフリアグネは、懐より例の回転式拳銃を取り出しながらこちらに歩いてくる。
「なにせあのおちびちゃんは大太刀が得物だろう? 指輪が無効化するのは炎だけだ。残念だけど、おちびちゃん相手に指輪は殆ど役に立たない」
確かにそうだ。シャナは炎を使用した攻撃を殆ど使っていない。大太刀を使っての物理攻撃を得意とした完全な近接タイプだ。いかに炎を防ぐ指輪があろうとなんの意味もない。
目と鼻の先まで来たフリアグネは、拳銃を俺の眉間に突きつける。
奴が発砲しないとは分かっているが、それでも本能的に背を反らせて銃口から離れ
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