暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十三章 「宝具」
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術の幅は広がるな。
 この点はシャナにも同様だ。
 シャナには未だ『投影』については気付かれてないだろう。だが、どうせ俺自身は放っておいても消えるんだ。何も問題もないだろう。
 しかし俺が現状、リスク無しで投影出来る投影品で宝具なのは『干将・莫耶』と『全て遠き理想郷』だけだ。
 加えて奴の性質上、劣化した夫婦剣で『鶴翼三連』を強行しても意味がない。
 夫婦剣が引き合う性質を察知されて、避けられるのがオチだ。
 『鶴翼三連』は不意を突かねば効果が薄い。
 故に『必殺』でありながら、万全の状況を用意しなければ機能しない、という欠点がある。
 ま、そもそも俺は敵を『殺す』気なんて毛頭ない。『必ず』命中させる必要ないんだけどな。
 『鶴翼三連』を放つ時は、敵を『殺す』時だ。
 出来れば、使う事なく終わりたい。
 聖剣の鞘は、そもそも戦闘用の宝具じゃない。
 現状、戦力になり得ないな。
 ついでに言うなら、体内に仕込む隙もない。
 鞘に関しては、計算する以前に完全に戦力外だ。
 そうなると通常刀剣の有用性は高いな。

 ―――結界内に内包している通常刀剣のリストを検索。
 通常戦闘は夫婦剣で対応する。
 ―――夫婦剣と類似した戦術運用の刀剣を除外。
 となると、虚を突ける武器……か。
 ―――特定戦闘法に特化した刀剣をリストアップ。
 ―――用意したリストから、戦術プランを作成。
 そう何度も搦め手が通じる訳もない。
 戦術は複数パターンを用意する必要がある。

 全く、昔の様に真正面から突撃する事がなくなったのは、良い事なのか?
 今の俺は、戦闘前に必ず戦術のシミュレートをするようになった。
 なんというか、アーチャーが俺の可能性の一つというのが良く分かる。
 戦闘の運びが巧く成るにつれて、戦い方は限りなくアーチャーに近くなる。
 要は、これが『衛宮士郎』に最も適した戦闘法なんだろうが……。

 状況整理が一段落したところで、しばらく考え込んでいたフリアグネはようやく口を開いた。
「ここは“狩人”としての器量が試されるね」
 ヘタに格の低いものは出せないって事だろう。
 俺には全く分からない苦労だが。
「やっと考えがまとまったか?」
「ああ。折角だし、私が今回、用意しておいた『宝具』を見せてあげる事にするよ」
 願ってもない台詞だな。そいつは。
「良いのか? お前の手の内を晒すことになるぞ」
「君だってあの剣を見せてくれているだろう? 私も使用する物を見せないとフェアじゃないさ」
 まぁ、それもそうだ。一応、主兵装だし。
 問題は、何処まで信用して良いか、だ。
「そこじゃ見辛いだろう? そちらに行くとするよ」
 フリアグネは手すりの上から、俺の前に降り立った。
 そして、いつし
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