暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十三章 「宝具」
[5/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
きとした宝具だ。
 しかし、こちらではただの業物ときた。
 となると、結論は2つ想定できる。夫婦剣はこっちでは宝具でないか、フリアグネが嘘をついているか、だ。
 “狩人”フリアグネの目利きはある程度信頼出来る。手強い敵だから、尚更のことだ。
 こと宝具に関して、こいつが嘘をつくとも思えない。
 全く、フリアグネの分析能力といい、情報は山のように出てくるな。
「あのおちびちゃんの大太刀も、確かに業物だ。けど、あれはちゃんとした宝具だね。出来る事ならコレクションしたい所ではあるよ」
 簡単に渡してくれるとは思わないけど、続く。
 やはり贄殿遮那は宝具なのか。
 俺の解析でも、かの大太刀は確かに宝具と推定された。
 という事は、別に俺の解析が間違っている訳じゃない。
 こちらでの、宝具に対する定義が異なるだけだろう。
 こちらの定義も考慮に入れておく必要があるな。

 奴は夫婦剣の投影品を確かに『唯一無二の偽物』と言った。
 という事は、こちらでは伝承は残っていても『オリジナル』はただの刀剣として扱われるのか?
 いや、何か違う気がする。
 『唯一無二の偽物』―――妙な話だ。これじゃ『贋作』の定義にすら当てはまっていない。
 本物は存在していないが、本物を模して作られた物、か。
 本物は存在していない――、つまり、こちらでは夫婦剣は伝承に過ぎないってことか。
 『製作された』という記録があるだけって事になる。
 成る程……、こちらでの夫婦剣は、俺の夫婦剣と違う物なのか。
 つまり俺の投影は、かつて『製作されたとされる』物を『模して』俺が『勝手』に造り出した『干将・莫耶』という、同じ名前をした別の剣、って事になってるんだな。
 こちらでの『投影』は偽物であって偽物でない。
 俺が造り出した、俺のオリジナルの宝具って事か。
 『唯一無二の偽物』とは良く言ったものだな。

「俺の見立てでも、その結果がでた。正直に言うと、お前の事を甘く見ていたみたいだ。一応、謝っておくよ」
 もう少ししたら敵同士だけどな、と付け加えておく。
 全く、敵に教えられるなんてな。
「それには及ばないさ。僕だって君の事を侮っていたみたいだしね」
「侮っていた? どういう事だ」
「正直、君の事は、ただのミステスと思っていたよ。けど、君は内に蔵した宝具の力を使う事なく、私の燐子と渡り合って見せた。私もこれまで色々なミステスを見て来たけど、君みたいなのは初めてだったね」
「そいつはどうも」
 ―――、誉められても困るんだが。
 とりあえず、社交辞令を述べておく事にした。
「けど、流石に“狩人”とはいえ、ミステスの中にある宝具までは特定出来ないんだな」
「確かにそうだね。けど、宝箱は手に入れる楽しみ以外にも、開ける楽しみもある。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ