”狩人”フリアグネ編
十三章 「宝具」
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きとした宝具だ。
しかし、こちらではただの業物ときた。
となると、結論は2つ想定できる。夫婦剣はこっちでは宝具でないか、フリアグネが嘘をついているか、だ。
“狩人”フリアグネの目利きはある程度信頼出来る。手強い敵だから、尚更のことだ。
こと宝具に関して、こいつが嘘をつくとも思えない。
全く、フリアグネの分析能力といい、情報は山のように出てくるな。
「あのおちびちゃんの大太刀も、確かに業物だ。けど、あれはちゃんとした宝具だね。出来る事ならコレクションしたい所ではあるよ」
簡単に渡してくれるとは思わないけど、続く。
やはり贄殿遮那は宝具なのか。
俺の解析でも、かの大太刀は確かに宝具と推定された。
という事は、別に俺の解析が間違っている訳じゃない。
こちらでの、宝具に対する定義が異なるだけだろう。
こちらの定義も考慮に入れておく必要があるな。
奴は夫婦剣の投影品を確かに『唯一無二の偽物』と言った。
という事は、こちらでは伝承は残っていても『オリジナル』はただの刀剣として扱われるのか?
いや、何か違う気がする。
『唯一無二の偽物』―――妙な話だ。これじゃ『贋作』の定義にすら当てはまっていない。
本物は存在していないが、本物を模して作られた物、か。
本物は存在していない――、つまり、こちらでは夫婦剣は伝承に過ぎないってことか。
『製作された』という記録があるだけって事になる。
成る程……、こちらでの夫婦剣は、俺の夫婦剣と違う物なのか。
つまり俺の投影は、かつて『製作されたとされる』物を『模して』俺が『勝手』に造り出した『干将・莫耶』という、同じ名前をした別の剣、って事になってるんだな。
こちらでの『投影』は偽物であって偽物でない。
俺が造り出した、俺のオリジナルの宝具って事か。
『唯一無二の偽物』とは良く言ったものだな。
「俺の見立てでも、その結果がでた。正直に言うと、お前の事を甘く見ていたみたいだ。一応、謝っておくよ」
もう少ししたら敵同士だけどな、と付け加えておく。
全く、敵に教えられるなんてな。
「それには及ばないさ。僕だって君の事を侮っていたみたいだしね」
「侮っていた? どういう事だ」
「正直、君の事は、ただのミステスと思っていたよ。けど、君は内に蔵した宝具の力を使う事なく、私の燐子と渡り合って見せた。私もこれまで色々なミステスを見て来たけど、君みたいなのは初めてだったね」
「そいつはどうも」
―――、誉められても困るんだが。
とりあえず、社交辞令を述べておく事にした。
「けど、流石に“狩人”とはいえ、ミステスの中にある宝具までは特定出来ないんだな」
「確かにそうだね。けど、宝箱は手に入れる楽しみ以外にも、開ける楽しみもある。
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