”狩人”フリアグネ編
十三章 「宝具」
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そう言うと、ヘラヘラとしていた顔が一転、寒気を感じる程の殺気を撒き散らした。
「君の目の前であの子を殺す、あるいは逆に君を消す。いずれにせよ、私の邪魔をしてくれた報いに、戦うだけではない苦しみを君達のどちらかに味あわせる。そうしないと、私の気が済まないんだ」
そう言って、再びいつもの薄笑いを浮かべるフリアグネ。だが、その笑いの向こうには、依然として炎の様な怒りがちらついている。
―――次の戦闘は更なる激戦になるだろう。
俺自信、そして、あらゆる平行世界での俺の経験が、そう告げていた。
しかし、流石は王と言うだけの事はある。
一触即発といったレベルまで行っていれば、多少なりとも奴の行動を読む事が容易になるんだけどな。
挑発の効かないタイプであることが、一層厄介だ。
「まぁ、お互い特に急ぎの用が無いみたいだ。しばらくは、私の話し相手でも引き受けてくれたら嬉しいんだけどね。それ位の器量は、見せてくれても良いんじゃないかな?」
フリアグネがそう提案してきた。
単純にシャナが来るまで暇なのだろう。それに、奴にその気があるとは思えないが、これは情報収集の絶好の好機だ。
「断った所で勝手に話しかけて来るんだろ? 分かった、付き合ってやるよ」
舞台上に戻り、図々しく胡座をかいて座り込む。
俺とは入れ違いに、フリアグネは舞台から、屋上の手すりの上に移った。
「先に言っておくが、あくまで俺達は敵同士だからな。話したくない内容になったら、黙秘を決め込むぞ」
言うまでもない事だが、一応は礼儀として先に言っておく。
「勿論、そのつもりさ。お互い、手の内を晒すような事はしたくないだろうしね」
奴もバカじゃない、容易に情報を与えてくれる事はないだろう。
「そういう事。それじゃ、お前から誘ってきたんだ。話題は任せるからな」
手をヒラヒラとして見せる。
出来れば話し手でなく、聴き手に回りたい。そうなると、一番に口を開く訳にはいかないからな。
何事も最初が肝心だ。
「それじゃ、遠慮なくそうさせて貰うよ。いきなり踏み入った話で悪いんだけど、君の双剣の事が聞きたいんだ」
いきなりそう来るか………。
“狩人”というだけあって、宝具には敏感だな。
確かに、普通の高校生が持っている物じゃないし、不自然に思われても仕方の無いものだ。
さて、どうするかな。
下手な事は話さない方が良いが、かと言っていきなり黙秘権を行使する訳にもいかない。
相手から情報を得たい以上、こちらもある程度は情報を与える必要がある。
何事も等価交換なのだ。
タダより高い物はない、というのは良く言ったものだと思う。
だが、わざわざこちらから情報を与える必要もない。
「流石は“狩人”って言われる程の王って事か。目の付
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ