”狩人”フリアグネ編
十章 「魔術使い」
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さて、三日目となるとそれなりに落ち着きを見せるものなんだな。人間の適応力って本当に凄いものだよ。
――何が三日目かって?
当然、シャナと俺にとっての高校生活だ。
いや、シャナを突然放り込まれた不幸なクラスの三日目……だな。
まぁ、俺には二度目の学生生活だけどさ。
そう言えば、この高校に来て分かった事が二つある。
それは、この学校の教師の大半が、ただの職業として教師を選んでいたという事と、生徒もただの惰性で高校に通っているという事だ。
シャナの行動は、結果的に教師に職務に対する理念や情熱、といったものを確かめる事となった。
大半の教師はその様なものを持ち合わせていなかったが、それでも少数の教師は今まで失われていた熱意を取り戻したみたいだ。
シャナが良い刺激になったのだろう。さながら処方箋のようなもんだ。
まぁ、処方された薬は、劇薬と言ってもいいものだったけどさ。
けど、おれも改めて『藤ねえ』の偉大さが分かった気がする。
何だかんだで、生徒にも慕われる良い先生だったからな、あの虎は。
だが、どうやらこの高校の授業について一方的に教師だけを悪くも言えないようだ。
なにせ、授業を受けている生徒にも全く熱意が感じられない。
確かに、一般的な高校生を相手に、熱意を持て、と言うのは無理な話だとは思う。
こういうことは社会に出てから、嫌でも後悔することだからな。
それでも、シャナに対して四苦八苦している教師を観察して楽しむような事は許される事ではない筈だ。
いや、それは俺にとってクラスメートの授業態度を認めたくないが故の言い訳にすぎない。
要するに俺は『何故、自分のために学ばないのだろうか?』と言いたいだけだ。
『衛宮士郎』の人生において、面倒ごと、と言うものが存在していないのが理由だろう。
―――俺は早く一人前になりたかった。
他人を救うためには、その為の能力が必要だからだ。
人に頼られたときには当然、俺自身の力で解決出来なければならなかった。
人の為になるためには、人に迷惑をかけるわけにはいかないからだ。
それが原因で、点数が優れない事態もあったんだけどな。
特に英語………、あろう事か虎の授業だ。
まぁ結局、聖杯戦争の辺りから他人に面倒を掛けっぱなしだけどさ。
とにかく、そんな理由で少しでも自分の為になるであろう事態には手を抜けなかったのだ。
――話がズレたな。
要は、教師だけが悪者でもないって事さ。
この授業態度はなんとかならないですかね、シャナさん。
四時間目の終わり頃、自分の周囲には興味の無さそうなシャナを見て少し期待してみた。
◇
昼休みになったが、もうクラスメートもシャナになれた
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