暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十章 「魔術使い」
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 邪魔されれば困る計画なのに、簡単に妨害出来るんなら、立案段階でその計画は失敗していると言っていい。
「簡単よ、お前がさっき質問してきた内容―――、それがそのまま答えになるわ」
 簡単って言い切ったぜ、おい。意外に抜けてるのか、フリアグネの奴。
 だけど、さっきの質問内容?
 俺がしたのは、破損したトーチに存在の力を補充する事で修復出来るか、って話だ。
 トーチは存在の力を緩やかに消費して、最後には人知れず消えていく。
 要するに、いきなり熱湯でなく、水から加熱するが如く、気付かないうちにって奴だ。
 昔のバラエティー番組の如く、いきなり熱湯に突き落とすのが都喰らいだ。
 そいつに俺の質問内容、トーチは治せるか……か。
 消えかけているトーチに存在の力を補充するってことか?
 そもそも熱湯にしなければ良いってことで、沸騰しかかった湯に水を足す様に。
 いや、それだと何もしなくても少しずつ消えていく筈のトーチが、消えずに残ってしまうな。
 現状で、これ以上トーチが増えないとしても、消えていく筈の彼らを残してしまったら、結果的には数が増える事になる。
 それじゃ本末転倒だ。フリアグネはトーチを増やしたいんだからな。
 という事は……だ。
「トーチを人間に戻す方法があるのか?」
 正直、俺にはこれしか考え付かないんだが。
 だが、俺がそう言うと、シャナは大きくため息をついた。
「そんな方法がある訳ないでしょ。逆よ逆」
「逆って言われてもなぁ………。ん? 待てよシャナ、まさか――!?」
 修復の逆という事は、つまり。
「そうよ。修復の逆――トーチを元の存在の力に戻してやるの」
「―――――なっ!?」
 それはすなわち、本来は自然に消えていく存在のトーチを意図的に消すという事だ。
 さっきの熱湯理論に置き換えると、水を沸騰させない為に、敢えて火力を上げて、一気に蒸発させてしまうというだ。
「そんな事をしたら、連中が本当に都喰らいを企んでるんだとすれば、計画に拍車がかかるじゃないか」
「いいえ、かかる事はないわ。確かに世界には歪みが生まれる。けど、都喰らいみたいに、街を一つ巻き込むような大きな揺らぎは生まれない」
「………」
 なんと返せば良いのか、即座に思い付かない。
「なるほどな、妙案だが確かに効果的だ」
 迷っていると、シャナの計画を聞いたアラストールが称賛の声を上げた。
 アラストールが、ああ言うからには、確かに効果的な作戦なんだろう。
 なんせ、この道のプロだろうからな。
 だが、俺はその計画に賛同が出来ない。最良ではあっても、最善だと思えないんだ。
「シャナ、アラストール、残念だけど俺はその計画に協力出来ない」
「どういう事よ」
 俺の返事を聞いてシャナは、少し声を低くして訊いてき
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