暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十章 「魔術使い」
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たい。
 そう信じたいが、万が一の為に用心はするに越したことがない。
「あの剣は………中々の物だったろ? 用意するのに苦労したんだ」
 ある意味で嘘は言っていない、本当に用意するのに苦労した。
 なにせ五分近く掛けて投影したからな。
「戦闘の経験もある。まぁ、人様に誇れるような実力じゃないけどな」
 これも嘘じゃない。
 俺には才能がないからな。
 いつも、死と隣り合わせの綱渡りの様な戦い方だし。
「まぁ、確かに良い剣だったわ。戦い方も、守りに長けていてかなりの時間を持ちこたえれそうだったし。それに、流れに乗せての搦め手って普通はなかなか出来ないものよ」
 流石はシャナだな。
 俺の戦い方の特徴をもう掴んでいるか。
 ただやられっぱなしじゃなくて、常に反撃の隙を伺っていたのもバレバレか。
「無傷では居られない戦い方だけどな」
「まぁ、肉を斬らせてって奴みたいだし、私は苦手なタイプだわ。剣については、まだ隠してる事があるみたいだけど、今のところは訊かないでおいてあげる」
 確かに搦め手は苦手そうだ。だけど、いかに策を労しようと力業で捩じ伏せそうでもあるな、シャナは。
「そうしてくれると助かる。また今度、ちゃんと話すよ」
 今度……か。自分で言っておいてなんだけど、機会が有れば良いけどな。
 フリアグネを倒した後で、俺が消える前……微妙なラインだ。
「当然、今もあの剣を持ってるわよね?」
 さて、どう返すか。
 持ってるって言えば持ってるし、持ってないとも言える。
 夫婦剣の運搬手段を考えてなかったから、実は手元にない。
 投影で用意するつもりだったけど、ソイツの説明は出来ない。
 これも、なんとか誤魔化すしかないな。
「あぁ、自分の身くらい自分で守るつもりだ」
 なら良いわ、と言ってシャナは俺に向けていた視線を外す。
「私が聞きたかったのはそれだけよ。それで、お前は何を訊きたい訳?」
 思いの外あっさりと質問を終えるシャナ。
 妙に聞き分けが良くて気持ちが不気味である。
 まぁ、俺としては話しやすくて良いんだけどさ。
「それじゃあ遠慮なくさせてもらうぞ。確か、トーチは分解されると存在の力に戻るんだったよな?」
「何度も言ってるでしょ」
 今さら何よ、といった具合に返される。
「なら、損傷したトーチは存在の力を補充すれば修復出来るのか?」
 鋭いわね、とシャナ。
「出来るわ。封絶の後、損傷した世界の修復に存在の力を使うの」
「なるほどな。それはミステスにも適用するのか?」
 言うまでもなく、このミステスというのは俺の事だ。
 自分の身体の在り方を完全に把握しておきたかったからな。
「ええ。ミステスは宝具が入ってるっていうだけで、トーチと大差はないの」
 つまり、いくら負傷しようが治
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