暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十章 「魔術使い」
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事ばかりに集中していたからな。
 結構、追跡組の人数が多かったみたいだけど、完全に気が付かなかった。
 敵と遭遇しなくてホントに良かったぜ。なに、やってんだよ俺。
 色んな意味で、あちゃ〜、と頭を抱える俺とは逆に、そもそも何が話題になっているか理解していない(ようにしか見えない)シャナが、涼しい顔で吉田に訊く。
「なにか、私に用でもあったの?」
「う、ううん。そうじゃ、なくて……」
 そんなシャナの問いに、複雑な表情になり顔を伏せる吉田。
「じゃあ、コレに用が?」
 無論、コレとは俺の事である。
 だからコレってなんだよ、コレって! いい加減、モノ扱いするなってんだ。
 シャナがそう言うと吉田の顔が紅くなった。
 紅くなったっていっても、今朝のシャナのように怒り狂ったからでも、俺が想像した色っぽいシャナの様でもない。
 また、体調を崩したのか?
 吉田は体もそんなに丈夫じゃないらしいし………。
「もしかして、熱っぽいんじゃないか吉田? 昨日の今日だし、まだ体調が悪いんじゃ――」
 顔を伏せた吉田の顔を覗きこむ。
「だ、大丈…夫。衛、宮くん。その、顔が……近い」
 すると、俺の顔を見るなりさらに顔を紅くした。
 どっちかって言うと、風呂でのぼせたとか、オーバーヒートしてるとか、そんな感じみたいだな。
 シャナの奴、もしかしたらアラストールと話が出来ない腹いせに、吉田に熱気か何かを飛ばしてたんじゃないか?
 フレイムヘイズ的な感じで。
 全く、この炎っ娘め。
 とにかく、最後の方はよく聞こえなかったけど、本人が大丈夫って言ってるしな。

「なら良いけどさ。具合が悪くなったら、すぐに誰かに言えよ。何かがあってからじゃ手遅れだし」
「………うん」
 小さく頷く吉田の顔を最後にもう一度確認し、俺は吉田から離れる。
 そんな俺と吉田をニヤニヤと面白そうに佐藤と田中が見ていた。
 何が面白いんだか、全く。
 そして数瞬の沈黙が流れる。
「で、結局コイツに用なの?」
 沈黙を破ったシャナは、吉田に再び質問した。
「え…? あ――」
 伏せたままでも紅い顔と分かる様子の吉田は、絞り出すように言葉を紡いだ。
「あの、衛宮……くん。昨日、その………格好良かった、です」
 そう言って、吉田は息を継ぐ。
 ちょっと苦しそうだぜ、吉田。呼吸をするの忘れてなかったか?
 やっぱり体調崩してるんじゃないか? とは言えさっきの手前、もうなにも言えないし。
「まぁ、実際に行動したのはシャ――平井さんだ。俺は何もしてないぞ?」
 シャナと言いかけて、言い直す。
 危ない危ない、名前を間違えるところだった。
 学校でのシャナは『平井ゆかり』だったな。
「そんな事ありません!」
 そう言う俺に、折角苦労して継いだで
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