暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十章 「魔術使い」
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ど、精々がんばりなさい」
 かなりキツい言い方ではあるが、シャナなりに応援してくれている……のだと思いたい。
 聞いたままの意味で捉えてたら、結構ツラいからな。
「それじゃ、ここで別れよう。早速、囮になってくる」
「勝手にしなさい」
 そう言って、シャナはそっぽを向いてしまったので、行ってくる、と言って俺はシャナと別れた。



  ◇



「本当に嫌な奴。何が、諦めたくない、よ」
 少年と別れた少女は、自分を顕現させたる神器に話しかけてきた。
 その声はとてもではないが、機嫌が良いとは言えない。
「確かに、異様な輩だな」
 それに答える自分の声は何故か、何かを問う様な声だ。
 紅世からこの世に来てそれなりの月日が経つが、あのような少年には自分も出会った事がない
 自分から見ても、あのミステス衛宮士郎は異常だ。
 恐ろしいまでの自己犠牲。
 いや、自己犠牲という言葉が正しいとも思えない。
 ミステス……、いや普通の人間があんな提案を出せるものなのか?
 生物は本能的に自己の生命を優先するものだ。直せる、どうせ作り物だと自分の身体を軽んじる事が、ミステスだからと出来るものか。
 彼奴のあの思考はもっと本質的ものなのではないのだろうか。
 何故、そこまで他者を救おうとする?
 その果てに自分が死んでも構わないとまで言った。

 自分を捨てる事が出来るほどの自己犠牲、理想的なフレイムヘイズの在り方だ。
 あの少年は、ある意味で似た生き方をしていると言っていい。
 しかし、それは正常な人間が思い描くであろう生き方ではない。
 まして、あの少年はまだ若い。
 ――――分からぬ。
 そもそも、あの在り様は自己犠牲なのか?
 もしかすると、自分は本質的に何かを取り違えているのだろうか。
 何にせよ、事情が分からなければ何もかもが閉ざされたままだ。
 何があの少年をそうさせたのだろうか?
「フリアグネの奴を討滅したら、キッチリと話が訊けるのかしら?」
「それは我にも分からぬな」
 あの少年が全てを語ってくれるとは限らないが。
 それでも、何かが分かるだろう。
「だが、もしアレが蔵している宝具が我等の予想通りの物だとすれば、機会はいくらでもあろう」
「そうね。その為にも、フリアグネに奪われない様にしないと」

 これまで他者にあまり関心を抱かなかった子だが、あの少年には珍しく興味を持っているようだ。
 感情を表すのが苦手なのか、素っ気ない振りをしているが、これも経験だ。
 外界と触れることのない育成方針の弊害だが、こうして少しずつ自分の力で解決をしていくのも良いだろう。
 願わくはあの少年が、我等に全てを語ってくれる日が来れば良いのだがな。
 少年の在り方に触れることで、この子も
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