暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十章 「魔術使い」
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た。
「確かに効果的な作戦なんだろう。アラストールの太鼓判もあるしな。だからといって、トーチを消して良いって訳じゃないだろ? それじゃ、俺達もフリアグネと一緒になるじゃないか」

 都喰らいの為にトーチを作り、そして大量に消し去ろうとしているフリアグネ。
 一方、その計画を妨害する為にトーチを消そうとしている俺達。
 一体どこが違うと言うのだろうか?
「一緒じゃないわ。それに放って置いたら、もっと多くの人間が……いえ、この街そのものが消えるかもしれないのよ? お前も言ったじゃない、道具は利用してこそ意味があるって。トーチは人間じゃない、ただの物よ。どうせ時間が経てば消える存在だし、少し早く消えるだけでこの街が助かるんなら―――」
「少々の犠牲はやむを得ない―――か」
 シャナが言い終える前に、言い放つ。
 全ての人間を救おうとしていては、結局、誰も救えない。
 なら、少しでも多くの人間を救うために切り捨てる選択も必要だ。
 ましてや、トーチは人間じゃない。
 そんな事ぐらい俺にだって分かってるさ。
 けど、簡単に諦めてしまっては駄目なんだ。
 諦めては……何もしなければ、結果が変わる訳がない。
 決して諦めず、最後まで可能性を模索する為に足掻かなければ、見えてこない方法もある。
 例え、どんなに陳腐な方法でも……な。
「それでもだシャナ。俺は全てを救う努力を諦めたくない。トーチになってしまった人達にだって、消えるその瞬間までは人間として生きる権利がある筈だ。勿論、シャナの言い分も正しいって分かってる。だから邪魔はしない、けど協力する事も出来ない」
「権利ですって? 笑わせないで。そんなのただの偽善よ。お前は全てを救う事が出来ない事を認めたくないだけ。いいえ、内心では自分でも無理だって分かってる。だから邪魔をする気はないんでしょ? 遅かれ早かれお前だってこの選択をするに決まってるんだから」
「そうだな、無理だって分かってる。けど、それは諦める理由にはならないだろ」
 バカな事を言ってるのかも知れないが、これが俺の決めた生き方なんだ。簡単に曲げる訳にはいかない。
「その考えが多くの犠牲を生み出すかもしれないって事は分からないの?」
「それも分かってる。だけど、可能性が万に一つてもあるのなら最後まで諦めたくないんだ。現実から眼を背けるつもりなんてない。もしもの時には、より多くの人を救える選択を取る。一人でも多く助けないと意味がないからな。その結果、恨まれたり、憎まれたりする事があったとしても、それは俺の責任だ。その罪は甘んじて受けるさ」
「その結果、お前が死ぬとしても?」
 実際、本当は死刑になってる筈だからな。何の因果かまだ生き延びてるけどさ。
「あぁ。けど、俺が死んだ程度で罪が償えるとは思えないけどな、死ねと言
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