”狩人”フリアグネ編
九章 「都喰らい」
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放課後、学校から逃げるように駆け去った俺達は、学校から御崎大橋に続く大通りを歩いていた。こちらに有利かつ、人気のない場所に移動するためだ。
紅世の徒の行動が活発化する夕刻までは、まだ時間がある。とはいえ悠長に構えていれる程、余裕がある訳でもないが。
「あんな帰り方をしたから、誤解はますます酷くなりそうだな」
傍らで大股に歩くシャナに合わせて、早足で歩きながら愚痴をこぼす。何せこっちは目的地も教えられずに、延々と歩かせられる羽目になるかもしれないんだ。愚痴の一つもこぼしたくなるよ。
「なんの事よ?」
「いや、なんでもない」
勿論、そんなことは口が裂けても言えないが。
「?」
シャナは首をかしげる。こっちの心情を察して目的地位は教えてくれる気配りがあっても良いと思うんだけどさ。
あの様子だと、そんな気配りなんて期待できないな。
全く、今までどんな風に一般社会を生きてきたのか非常に気になるぞ。
ちなみにだが、人のいない場所に行く、と言っておきながらシャナの足は市街地に向かっている。
多分、彼女なりの考えがあるのだろうが、ならばこそ早く目的を教えてほしいもんだ。
だけど何が引き金でシャナが怒るかどうか、俺には全く予想ができないんだし、こっちからはなにも出来ないし。
大橋に差し掛かった所でシャナに質問する。勿論、目的地以外の質問たが………。
「なぁ、シャナはフリアグネを倒すつもりなんだろ? お前以外の他のフレイムヘイズから、敵の手の内とかの情報は集めたり、協力とかは出来ないのか? 有名な王なんだったら、情報、戦力は少しでも多い方が良いと思うんだけどさ」
「それは無理よ」
そう俺が訊くとシャナは鉄橋の手すりに飛び乗ってから、質問に答えた。
身軽なのは認めるけどさ……。
「それはこんな場所でする遊びじゃないぞ。いや……、何でもない。気にしないでくれ。それで、なんで無理なんだ」
周りからの視線が痛いが、シャナがあまりに平然と歩くので、深くは注意しない事にした。どうせ言っても聞いてくれそうにないしな。
「偶然に出会う以外では、基本的に連絡を取り合う事なんかないんだもの」
「なんでさ?」
時折、シャナは手すりの上で大きく跳んだりするので、ついつい慌ててしまう。彼女だから大丈夫だとは分かっていても、横で危険な行為をされると落ち着かないものだ。
「フレイムヘイズはそれぞれの事情と理由で戦ってる。それに皆、自分の力だけを頼むような奴ばっかりだから、群れることに向いてないの」
良い子は真似しちゃダメだぞ、と考えていた俺は頷いて返す。確かに、シャナを見た感じだと納得がいく。共通の目的を持っているとはいえ、自分の為に戦う奴が統率の取れた行動を出来るとは思えない。
「あ〜、なんとなくだけど分かる気がするな」
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