”狩人”フリアグネ編
九章 「都喰らい」
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らうと、仕掛けを発動させた。トーチは一斉に元の存在の力に戻った」
っと待てよ。それってかなり不味い状況なんじゃないか?
「ちょっと待ってくれ。確認なんだけど、世界の破綻を防ぐ為にトーチを設置してるんだよな?」
シャナを確認するように見る。無言だが、シャナはしっかりと頷いてくれた。
間違えてはないようだから、話を続けよう。
「つまり、今の話は人口の一割に登ったトーチが一斉に消えて、矛盾が矛盾を生んだってことだろ?」
魔術的な話になると、世界からの修正が働いてもおかしくない状況だ。例えば、一般的な投影魔術や固有結界なんかは、生成、または展開された瞬間から世界からの修正を受ける。ある筈のないモノや心象風景を具現化した空間は、本来は存在してはならないものだからな。そんな異物の存在を世界は許さない。
存在していた筈のモノが一斉に消える。もっと言うなら、本来はそこにあったものが、いつの間にかすり替えられ、しかも一斉に消えたってことだ。
その結果、起こりうる現象なんて悪い結果しか想像出来ない。
「そうだ。偽装した繋がりを大量に失ったその都には、人や物を巻き込む巨大な世界の揺らぎが生じた。その巨大な存在の揺らぎは、トーチの分解に触発され、雪崩を打つように都一つを莫大かつ高純度の存在の力に変じた。“棺の織手”は本来我らが喰らうに適さないものも全てを、糧にする法を編み出したのだ」
「都一つが……か」
脳裏をよぎるのは、冬木市の新都を焼き払ったあの大火災。あれから正義の味方の真似事をして、大なり小なり色んな災害を見てきたが、俺の始まりとも言えるあの事件は深く刻み込まれた記憶だからな。
シャナはアラストールに質問する、相変わらず食糧を確保しながらだが。なんだで話し半分で聞いていないのが、シャナらしいところだろう。
「それが都喰らい……。でも、その“棺の織手”は討滅出来たんでしょ?」
もっともな意見だ。その“棺の織手”とやらがまだ生きていれば、フリアグネの討伐どころの話じゃないしな。
「多くの王とフレイムヘイズによる長い戦いを経て……な。なにしろ、“棺の織手”は都市一つ分の力を喰らい、しかもそれを“自在”に操れるだけの………、当時の乱獲者中、最強の王だったのだからな」
アラストールが口に出すのに躊躇う程、危険な状況だったのだろう。
「ただの昔話ってことじゃないだろ? 要するに、その大昔の秘法が今、ここで進められている可能性があるとみて良いのか?」
「一つ所におけるトーチの以上な多さと、その中に不可思議な仕掛け……。状況があのときと酷似している。フリアグネがあの“棺の織手”の秘法を、そう簡単に使えるとも思えぬがな。しかし、その可能性が僅かでもあるのならば、我らフレイムヘイズはなんとしても潰さねばならん」
可能性とアラストー
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